eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

OECDのシュライヒャー教育・スキル局長が7月に来日し、日本の教育への提言を行った。その提言を要約すると、次のようである。 (1)学習指導要領の改訂実施を優先する(2)学校と地域社会との連携・協働関係を強化することで、包括的・全人的な教育制度を維持する(3)生涯学習を強化し、義務教育以外の教育へアクセスする経済的手段を拡大し、平等を促す。……

文科省の遠隔合同授業の委託事業で、熊本県高森町と鹿児島県徳之島町は、小規模の学校や離島・山間地の教育課題の解決を目指し、3年間の継続的な取り組みを進めた。実践では、試行錯誤しながらも確実に児童生徒の学力向上が実現した。これらの実証地域にアドバイザーとして関わり、共通に見えてきた成果と学習活動のポイントとして、次の三つを挙げる。 ①多様な考えで学び合う学習活動 小規模校では、児童生徒の価値観や人間関係が固定化されがちで、多様な考え方やものの見方を学ぶ機会が少なくなる。……

東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

東京都では1969年、横浜市と時を同じくして障害で通学が困難な児童生徒への訪問教育を開始した。都は74年から、養護学校への希望者全員入学も開始している。 重度の障害がある児童生徒の在籍者が増える中、各養護学校にはたんの吸引器が備えられるようになった。そうした医療的ケアが必要な児童生徒の対応は、原則として保護者が当たることになっていた。 大阪府は、平成(1989年)に入って医療が必要な児童生徒の増加に伴い、「医療との連携のあり方に関する検討委員会」を設置。……

横浜国立大学教育学部博士・高野陽介

肢体不自由の生徒をサポートする上で、「特別支援教育コーディネーターの活用」や「専門性のある教員の配置」に関する課題もある。 特別支援教育コーディネーターは、学校の特別支援教育を推進するため、主に校内委員会や校内研修の企画・運営、関係諸機関や学校との連絡・調整、保護者の相談窓口の役割を担う。 筆者が全国の全日制、定時制課程の高校4939校(2015年度・学校基本調査参照)に実施した調査では、回答校全体(1536校)の特別支援教育コーディネーターの配置状況は約70%だった。……

長崎県は、離島の数が日本一の都道府県である。離島では、これまでもさまざまな遠隔地と結んだ教育の取り組みが行われてきた。行政無線などを使った広域教育工学総合システムのNIGHTシステムは、昭和40年代に誕生。遠隔地との教育の礎を築いた。人口減少社会の中、離島の小規模学級を含んだ全ての子供たちに「主体的・対話的で深い学び」を実現する遠隔合同授業が求められている。 そこで今回は、長崎市の小学校同士をつないだ遠隔合同授業の取り組みに触れたい。 同市には、世界遺産の端島(軍艦島)がある。……

東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

今回は、学校の医療的ケアに関する法律や通知について説明する。
■医療的ケアに関する法律
喀痰(かくたん)吸引などの医療的ケアは、2012年施行の改正社会福祉士及び介護福祉士法で定められた。この法令により、医療職以外のヘルパーや教員らが医療的ケアを行う場合の研修が定められ、厚労省と文科省は喀痰吸引などの研修に関するテキストを作成した。 医学の進歩を背景に、NICU(新生児集中治療室)に長期入院した後、引き続き、たんの吸引や経管栄養、人工呼吸器や胃ろうなどの医療的ケアを日常的に必要とする障害児が増加したことが理由に挙げられる。……

横浜国立大学教育学部博士・高野陽介

肢体不自由生徒が高校生活を送る上で、日常生活(食事、排せつ、教室移動の補助など)や学習面のサポートを誰が担うかは大きな課題になる。特別支援学級や通級による指導の対象者が増加しており、通常学級に在籍し発達障害のある生徒への教育的対応も一層求められている。これらを背景に、教員のマンパワーだけでは十分な支援が困難な場合も多くなっている。 特別支援教育支援員の活用は、教員の心理的、身体的な負担を軽減する。肢体不自由な生徒の障害に応じた適切な教育を施す上でも一層重要になっている。当事者側も学校側も肢体不自由者の高校進学を推進するために不可欠な支援だと考えている。 特別支援教育支援員の活用には、さまざまな課題もある。……

 私たちもテレビ会議を仕事で使うのが一般的になってきた。家庭でも、遠く離れた実家の両親に孫の顔を見せている人は多いだろう。テレビ会議はひと昔前、なかなかスムーズにいかないこともあったが、技術の進展と共に悩みも減ってきている。環境整備により、「遠隔合同授業の敷居はそう高くない」とお考えの方が多いかもしれない。 ただ、授業の実施となると格段に難しくなる。先ほど挙げた例は、少人数のコミュニケーションである。会議でも、多少の工夫や少しの我慢で乗り切ることができる。 一方、遠隔合同授業では、「対面の授業に相当する」ことが条件になる。……

東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

医療的ケアを巡る歴史の3回目は、現在の学校の医療的ケアに至る流れを述べる。
■医療職以外のスタッフによる医療的ケア実施の拡大
社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正(2012年4月施行)により、教員や学校介護職員などの看護師以外のスタッフでも、指定研修の修了者が都知事の認定証の交付を受ければ、特定の医療的ケアを実施できるようになった。その結果、違法性阻却(そきゃく)の考え方に頼らずによくなった。 副次的な業務でも本務に関係する業務として、校長は教職員に医療的ケアを行うよう命じることもできるようになった。……

横浜国立大学教育学部博士・高野陽介

施設・設備の充実は、肢体不自由者と学校にとって、最も重要な基礎的環境整備と合理的配慮である。筆者自身、高校進学の際、バリアフリー設備の整備状況を重視して学校を選択した。その中で施設設備が整っていないことを理由に入学を断られるケースもあった。 筆者は、2015年度に全国の全日制、定時制課程の高校4939校に調査を実施した。施設・設備面の整備状況では、回答した全1536校で「階段の手すり」が72.7%と最も整備が行われていた。 続いて「障害者用トイレ」が68.7%、「段差解消のためのスロープ」が55.3%という結果だった。……

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