【連載】教師のための人間関係づくり 第3回 保護者の信頼を勝ち取るコツ

明治大学文学部教授 教師を支える会代表 諸富 祥彦

 

ここ数年、保護者と教師がどのように関係をつくっていくかが、大きな課題となっています。

モンスター・ペアレントなどと呼ばれる一部の保護者の問題ではありません。教師の権威を疑うことがなかったかつての時代とは異なり、どの保護者も教師に厳しい眼差しを向けるようになってきました。特に20代の若手教師や50代のベテラン教師に対する視線は厳しく、「子どもも産んだことがない、あんな若い先生に担任が務まるのかしら」「もうあんな年なのに小学校の担任、できるのかしら」などと、辛らつな言葉を投げかけてきます。教師には、この厳しい視線を跳ね返すだけの力量が求められているのです。

では、保護者から信頼を勝ち取るには、どのようにすればいいのでしょうか。

以前に、ある長期研修中の教員が、調査をしたことがありました。保護者は、教師に何を求めているか、調べたのです。

一位は、子どもをよく見てくれていること、学級をよく見てくれていることです。子どもウォッチング、学級ウォッチングが、一番大切なことなのです。

ただウォッチングしているだけでは足りません。それを保護者に伝える必要があります。「えーっと、なんだっけ、なんか伝えるべきことあったな」ではだめなのです。

そのためには、メモをとっておくことが必要です。子どものちょっとした気になる行動についてメモをとっておくのです。いつでも、具体的な様子を伝えることができる準備を整えておくことです。保護者は「よく見てくれていること」に最大の安心感をおぼえます。

逆に、クラスで何かおきても教師がよくわかっていないと「この先生、だいじょうぶかな」と心配になります。

保護者が教師に求めるものの第二位は、まめであることです。こまめに連絡をとる習慣をつけましょう。  例えば、午前11時ころに保護者から電話があり、「うちの子、いじめられているような気がするんですけど……。よく見ていただけませんか」と依頼があったとしましょう。さて、みなさんはいつ折り返しの返事をするでしょうか。その日のうちでしょうか。3日後でしょうか。はたまた1週間後でしょうか。ある保護者は、「1週間待っても返事をいただけない」と大きな不信感を抱き、校長と教育委員会に苦情を伝えました。

私は、ぜひ、その日のうちに返事の電話をしていただきたいと思うのです。こうした場合、多くの保護者は、とても不安な気持ちを抱えています。こまめに連絡を取ることで、保護者の不安を解消しましょう。いじめについて詳しい情報がまだ手に入っていなくても、こまめに連絡することで「この先生は、ごまかさずに、誠実に対応してくれようとしている」という気持ちが伝わっていきます。

第三位は、元気なオーラを出していることです。特に小学校の保護者は、疲れた雰囲気の先生に批判的です。睡眠をしっかりとり、栄養をとって、元気を保ちましょう。一番おススメなのは、最近、東京近郊ではやっている「ひとりカラオケ」。30分程度で5曲全力で歌えば、スッキリとストレスを解消できます。  子どもたちはパワフルです。それに対応できる「元気さ」を感じることができる先生でないと、保護者が不安になるのも当たり前です。

そして四位は、気さくな雰囲気です。元気で、気さくな雰囲気を出している教師が好かれやすいようです。

私の見るところ、お高くとまったツンツンした雰囲気の先生は、保護者の気持ちを逆撫ですることが多く、攻撃にあいやすいようです。大きな声を出して笑い、気さくな笑顔で保護者と心を通い合わせるといいでしょう。

やはり何か困ったことがあると、相談しやすい雰囲気をもっている先生が好かれます。先生のほうから保護者に対して、「最近、どうですかー」などと気楽に声をかけていきましょう。

このような対応を積み重ねていくことが安心感を与え、信頼を勝ち取ることにつながります。まずは「できること」から、はじめてみましょう。

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