【連載】教育現場の課題をひもとく 英語教育の展望―中学校編① 実生活の活動に即した改善を

東京都練馬区立豊玉中学校長 井田宗宏

グローバル化が進展する中で、国際協調を推進するためには、多様な資質、能力を身に付けた人材の育成が必要である。特にコミュニケーション能力の育成は、日本人に求められる重要な要素である。

中学校段階から、国内外で活躍する人材を視野に入れ、英語教育の抱える課題を整理し、改善に向けてその方向性を検討することが求められている。最近では、文科省が、平成26年2月に「英語教育の在り方に関する有識者会議」を設置し、小・中・高校を通じた英語教育改革について審議を行った。

東京都でも平成26年12月、「東京都長期ビジョン」で、「世界をリードするグローバル都市の実現」を目標の1つに掲げ、教育環境を整備するための具体的政策を明らかにした。都では、中学校において、26年8月に「東京方式 少人数・習熟度別指導ガイドライン《中学校 英語》」を策定し、効果的な少人数・習熟度別指導の推進を通して、指導の充実を図っているところだ。

英語を少人数で教えることの利点を、(1)英語は繰り返し練習を積み重ね、言語運用の能力を高めていく教科である(2)少人数授業では、一人ひとりがゆとりをもって授業に参加できるようになり、授業中、生徒が実際に英語を使用して活動する機会がより多く確保される(3)スピーチや音読の発表を前提として授業を進めることにより、生徒自らが、主体的に取り組み、練習への意欲や集中力が増し、習得につながりやすい――と捉えている。

東京都中学校英語教育研究会では、4技能を育成する授業づくり、英語で行う授業、ALT等を活用した授業について研修を実施し、教員の指導力向上を図るとともに、指導内容・方法の改善を目指した研究を行っている。

また東京教師道場事業では、教員が授業研究を通して2年間継続的に指導・助言を受けることにより、教科の専門性を一層高めるとともに、他の教員の指導的役割を担うことができる資質・能力を磨いている。

中学校の教員には、英語を通じて生徒の学習意欲を高め、コミュニケーション能力を向上させる指導力や、生徒の言語活動を効果的に行わせ、4技能を統合的に扱いながら総合的にバランスよく系統的、計画的に指導できる英語力が求められる。言い換えれば、生徒が英語による言語活動に積極的に取り組むことができるような指導力と英語力が一層、重要になってくる。

グローバル人材に求められる資質・能力としては、単に「使える英語力」を身に付けることにとどまらず、それを活用していく資質・能力が必要である。英語を使って積極的にコミュニケーションしようとする態度や、国内外を問わず、さまざまな場面・分野で夢を実現しようとする意志、活躍の場を求めて世界にチャレンジしようとする意欲が求められる。

また、さまざまな国や地域の人々とともに未来を切り開いていこうとする態度・能力や国際社会の構成員としての自覚を持ち、世界を舞台に活躍し、信頼され、世界に貢献しようという意欲を育むことが大切である。

平成32年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催されることが決まり、日本、とりわけ東京には、多くの外国人が訪れることになる。東京都内の中学生が、自国への理解を一層深めて、英語で発信できる力を育む必要がある。

そのためには、独自の英語教材の開発を検討すべきである。教材の内容・構成、コミュニケーション活動は、授業で活用するとともに、海外から来日した外国人に対して、生徒が実際に英語を用いて楽しみながら、案内や説明ができるように工夫を凝らすことが欠かせない。

今こそ、実生活に即した多様な活動を通して、授業改善に向けた取り組みを具現化することが求められている。