【連載】教育現場の課題をひもとく 英語教育の展望―中学校編② 小中高一貫した学習到達目標で

東京都練馬区立豊玉中学校長 井田宗宏

グローバル社会において、主体的に生きる人材に求められる基本的な資質として、わが国や郷土の伝統・文化、歴史についての理解を深め、尊重する態度を身に付けていることが求められる。国際社会に生きる日本人としての自覚や誇りを養い、多様な文化を尊重できる態度を育み、その資質を伸ばすとともに、日本の伝統・文化のよさを発信する能力を育成することが重要である。

中学校では、小学校で身に付けた能力を踏まえ、4技能を用いてコミュニケーションを図る能力を育成することを目標とする。具体的には、初歩的な英語を用いて、相手の意向を理解したり自分の考えなどを伝えたりすることができる能力の育成を目指すとしている。中学校卒業段階では英検3級~準2級程度等が到達目標として示されている。

「外国語能力の向上に関する検討会」(文部科学省)は、英語科教員に求められる英語力を英検準1級以上相当の力であるとしているが、これに該当する都内公立中学校の英語科教員は4割程度である。今後、全ての英語科教員が、求められる基本的な能力としての英語力を保持するため、個々の意識を喚起していくとともに、採用段階から任用後の研修を通して、英語力を高め、維持していくための方策を検討する必要がある。

生徒が「使える」英語力を身に付け、英語を使って外国人と積極的にコミュニケーションを図るとともに、わが国とは異なる文化を理解するためには、授業における外国人指導者の活用は有効な手段である。外国人指導者とのティーム・ティーチングは、生徒に英語による言語活動を活発に行わせ、授業を実際のコミュニケーションの場とするために有効であるだけでなく、教員自身のコミュニケーション能力の向上に資するものである。また異なる文化やものの考え方を生徒に紹介するなどコミュニケーションを広げるための材料を提供したり、生徒が英語で質問できたりするなど、高い効果が期待できる。

外国人指導者とのティーム・ティーチングの拡大は、英語授業の改善に大きく寄与するものである。加えて、言語学習において、少人数指導は有効であり、一層の拡大を検討すべきである。例えば1クラス40人を2分割したり、2クラスを3分割したりすることで、20人前後のグループを作り、英語科教員と外国人指導者がそれぞれ役割分担して指導する手法の導入は、生徒の英語学習を一層効果的にする。特に授業内の言語活動では、生徒同士がより多くのインタラクションを取り入れることにより、聞く能力や話す能力、人との関わりの中で言葉を使う能力を向上させることが可能になる。

学校における英語学習の評価は、学習指導要領で示された4技能を総合的に育成する指導の充実や言語活動の統合を図るための改善の基本方針を踏まえる必要がある。こうしたことから、学期ごと、または学年ごとの学習評価で、特定の技能ではなく4技能を測る評価が求められる。例えば、聞いたり読んだりして得た情報等を、自らの体験や考えなどと結びつけて話したり書いたりする、授業内の言語活動の学習成果が適切に評価できる定期考査を行ったり、ペーパーテストだけでなくインタビューなどのパフォーマンステストを組み入れて評価を行ったりするなどの工夫をする必要がある。

平成28年度に計画されている学習指導要領の改訂の方向性を踏まえて、小学校・中学校・高校を通じて一貫した学習到達目標の設定や、それに基づく指導などの体系化を図る必要がある。中学校では、少人数・習熟度別授業の充実や、授業を基本的に英語で行うことなど、授業改善を具体化していくことが必要である。

世界規模の国際交流の舞台を提供することになる東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れ、多様な資質や技能、行動力を備えた人材を育成するための方策について、さらに検討すべきである。