【連載】教育現場の課題をひもとく アクティブ・ラーニングⅡ③ アクティブ・ラーニングに関する指導の実態

(一財)教育調査研究所研究部長 寺崎 千秋

「アクティブ・ラーニングは、とっくに行われている」という声をよく聞く。確かに、前回指摘したように、現行の学習指導要領に基づく教育課程では、総則や総合的な学習の時間をはじめとして、アクティブ・ラーニングの趣旨に合致する指導を行うことになっている。問題は、その指導が実際に行われ、かつ充実したものになっているかということである。

教育調査研究所では、平成26年度に小・中学校における「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(「アクティブ・ラーニング」)に関する調査」を実施した。その中で、校長に対する問いの1つに、「総合的な学習の時間を中心に子どもが主体的かつ能動的に学習を進める探究的な学習や協働的な学習が実施されていますが、貴校の指導の実態をどのように評価していますか」がある。回答は小学校長198人、中学校長76人からで、上表の結果であった。

これを見ると、「十分に満足できる状況」が非常に低く、「努力を要する状況」が4割前後となっている。他の「活用」に関する調査でも5割を超えて「努力を要する状況」の回答があった。

これらの回答の理由については、「教員の指導力が十分ではない」が小学校で65%、中学校で52%であった。「活用」に関する回答でも、ほぼ同様の結果となっていた。今後、アクティブ・ラーニングに関する指導の一層の充実と質の向上が求められるといえよう。

○アクティブ・ラーニングに関する研修の充実

次期教育課程の内容や方法の理解について「中教審の最終的な答申が出てからでよい」などと、のん気なことを言っていたのでは間に合わない。なぜなら、これまでの知識・理解の獲得が中心となっていた教育を、そればかりでなく資質・能力の育成も重視したものに大きく変えるからである。次の点に留意して取り組みを始め、今後の見通しを持つことが必要である。

▽平成26年11月20日に文科大臣が中教審に出した「初等中等教育における教育課程の基準の在り方について」(諮問)の趣旨や内容を把握する。出発点である。

▽平成27年8月26日「中央教育審議会教育課程部会・教育課程企画特別部会 論点整理」を熟読して、その内容を把握する。特に、各学校段階・教科別の検討の経過を注視する。

これらから、今後の方向性をしっかりと把握するようにしよう。その上で、現行の教育課程におけるアクティブ・ラーニングに関する指導を授業で確実にできるよう研修を実施する。この取り組みは、以下のようにカリキュラム・マネジメントと一体となるものである。

▽各教科の基礎的・基本的な知識・技能を定着させる指導において、問題解決的な指導や子どもの言語活動を活発にして思考力・判断力・表現力が高まる指導を工夫する。

▽各教科等の指導において身に付けた基礎的な知識・技能を活用する指導を積極的に取り入れ、子どもが自力解決の学習経験を豊富にもてるように指導を工夫し力量を高める。

▽生活科や総合的な学習の時間、特別活動・学級活動などで自ら設定した学習課題などを主体的に解決する探究的な学習や協働的な学習の指導が十分にできるようにする。

以上の指導をバランスよく行うようにカリキュラムを作成して、それに即した授業を実践し、評価・改善を行いながらアクティブ・ラーニング指導の力量を高めるようにする。