【連載】クオリティ・スクールを目指す 第66回 マナーは職業人として大切

教育創造研究センター所長 髙階玲治


「接遇」の研修機会がほしい

11月2日付けの本紙に京都府総合教育センターの興味深い調査が載っていた。「初任者の半数はマナーに自信がない」という記事である。「社会人としてのマナーの励行に自信がありますか」という質問に、「全くない」が約1割、「あまりない」を含めると5割である。「ある」の回答は1割以下である。

かつては「教員の常識は世間の非常識」と言われたことがあった。教員から電話がかかってくるのだが、要件を先に言い、自分の所属も名前も言わない例を何件も体験している。

最近は、学校に電話すると、学校名と自分の名前を言う例がきわめて多くなった。教員も世間並みのマナーを身に付けてきたようである。しかし、初任者が「マナーに自信がない」というのは気になることである。教員も職業人であるから必要な教員マナーを、例えば初任者研修で指導されないのであろうか。

今回の調査では、セミナーで正式に学んだのは5人に1人だという。マナーの十分な指導体制ができていないのであろうか。教員マナーを身に付けていないために、社会的な行為が十分にできないため後で後悔したり、またトラブルが生じたりしないであろうか。

企業感覚でいえば、教えている子どもは「顧客」である。保護者もそうである。つまり、機械やパソコン相手の職業ではなく、人間相手の仕事である。対人関係能力としてコミュニケーションを良好にする基盤になるのがマナーである。

そこで企業では「接遇」を新入社員に指導する。「接遇」を身に付ければ、お客さん相手のみでなく、職場環境も過ごしやすくなる。企業そのものが必要とする研修である。

例えば、ANAは「6つのS」をベースにした研修を行っているという。(1)Smile(笑顔の効果、アイコンタクトの重要性)(2)Smart(心を伝える「身だしなみ」「立ち居振る舞い」「言葉遣い」)(3)Speedy(速やかな対応の大切さとおまかせ感を緩和する工夫)(4)Sincerity(相手が大切にされていると感じる心配り)(5)Study(専門分野の研究、感性を磨く)(6)Speciality(向上心とプロ意識)――である。ANAは、「マナーの実践」も「人と人とのコミュニケーション」も、全てが「接遇」という思いを育み、それを表現することから始まる、と言っている。

実のところ、学校は子ども相手の職場だから、マナーも接遇も関係ないと思われていたように思える。しかし、6つのSを実践することで、子どもとの関係がよくなり、校内が明るくなることが大いにありそうである。教員研修で取り上げて学校のよりよい雰囲気を高めたい。

これからの学校は、「チーム学校」が提案しているように多様な存在が増え、また地域との関わりも一層大きくなる。教員一人ひとりが、人や組織の関わりを大切にする必要性がますます増大するのである。

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