【連載】目指せ管理職 選考試験を突破しようII 第25回 「特別の教科 道徳」の実施に向けて

教育新聞教育管理職研究会 編

○本格実施までに何を準備するか

学習指導要領の一部改正で教科外であった道徳の時間が「特別の教科 道徳(以下、道徳科)」としてスタートする。小学校は平成30年度、中学校は平成31年度から教科書を使用した実施となる。そこで、どのような準備が必要か考えたい。

校長(副校長、教頭)として、授業時数の確保に努め、魅力的な教材開発や授業づくりにどう取り組むか。「一部改正 学習指導要領」(平成27年3月)の「『特別の教科 道徳』 第3 指導計画の作成と内容の取扱い」について熟知しておく。その上で、他教科との関連性を重視し、道徳の授業の充実を教育課程の編成の重点に据え、授業研究や教材研究に取り組むことが重要である。それには、道徳教育推進教師を中心として組織的に準備を進めることが大事である。具体的取り組み内容や手順を整理して、準備を進めたい。

○授業の在り方、学習方法の工夫

各学年で取り扱うべき内容項目と児童生徒の実態を踏まえて、指導計画を作成するよう指導・指示したい。今次の改正では、扱う内容項目で、「いじめ」問題の克服をも意図したものとなっている。また、小学校に「個性伸長」や「国際理解」等が追加されたり、ねらいや指導項目がより分かりやすく示されるなど整理された。教科の目標は、道徳性を養うとし、「道徳的判断力」をより重視し、心情、実践意欲と態度を育てるとしている。これらを念頭に、次の点に留意し、取り組みたい。

(1)教員の意識改革を図る

これまで、道徳の授業時数が十分確保されなかったり、児童生徒の実態に配慮を欠いた画一的な指導であったり、教員の道徳教育への意識の低さがあったことは否めない。したがって、校長は、今行っている「道徳の授業」の充実を図る指導を徹底することから始めたい。これを通し、自己の在り方・生き方に関わる道徳科の大切さを認識し、重視する教員への意識改革を進めたい。

また、校長は、「新しい時代に必要とされる道徳教育」を意識したい。今次の改正では、「自己の生き方を考え、…よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする」と目標を明確にした。その上で、「伝統と文化を尊重し…国際社会の平和と発展…に貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成することとなるよう特に留意しなければならない(総則 教育課程編成の一般方針2)」と示されている。新しい時代、グローバル化を意識し、特に強調されたものと受け止めたい。

(2)授業の在り方を見直し、工夫する

従前の物語資料等による授業だけではなく、社会の出来事や児童生徒の生活に関することを取り上げて、児童生徒が、「自ら考え、議論する」ことによって自己の考えや価値意識を修正したり、深めたりするような学習の場としての授業を目指したい。児童生徒同士の学習を今まで以上に重視したい。また、体験的な学習も多く取り入れ、自己の内面を耕し、自己の在り方や生き方を学ぶような授業を展開したい。ぜひ、児童生徒が生き生きと学ぶ授業の創造に校長としての指導力を発揮したい。

(3)言語活動を重視し、考えを深め、判断し、表現する力を高める

自ら意思をもち、行動するには判断が伴う。道徳科でも判断力や表現力を養うことが大切であり、自分で考えたり、他者とのやりとり等を重視した授業を考えたい。それには、授業に言語能力を高める言語活動を多く取り入ることである。「話す、聞く」「書く」「読む」などのそれぞれに、正しく、正確で、分かりやすい「記録、要約、説明、論述」などの活動を学習のねらいや場に即して十分に取り入れることである。

(4)協力的な指導体制を構築する

校長が直接授業を観ての担当教員への励ましや指導を行う、その姿勢を持つことが大事である。そして、教頭や道徳教育推進教師を中心に授業研究などの具体的な取り組みを通して、教員の指導力を高め、力を出し合って取り組む、協力的な指導体制を構築するのは校長の指導力による。

○道徳科の評価

児童生徒が身に付けた道徳性をどのように評価するか。現行の「道徳の時間」は教科外活動として位置付け、単独の評価はしていない。教科化した後は、5段階などの数値評価ではなく、教員による記述式で行うこととなる。具体的には、児童生徒の内面の変化を見抜き、その表れを評価する手立てを工夫する必要がある。そして、いかに成長したかを積極的に受け止めることが評価の基本と考えることが必要である。