【連載】教育現場の課題をひもとく アクティブ・ラーニングⅡ⑤ ALの授業力を高めているか

(一財)教育調査研究所研究部長
寺崎 千秋

ALの授業力を高めているか

 

アクティブ・ラーニング(AL)を充実するためには、学習指導要領が求める指導の充実を視点にした授業力向上が必要である。特に次の3点の指導の実現・充実を確認したい。

(1)子どもの言語活動が活発に行われているか
言語活動の充実とは、子どもが体験的な学習や問題解決的な学習の過程において自ら考え、判断した中身を言語で表現して学習が充実することである。残念なことに、指示や説明など教師の言語活動が活発で、子どもは聞き役にまわっている授業が相変わらず多いと聞く。それではパッシブ・ラーニングである。ラーニングになっていればまだよいが、パッシブ・ワーキングとなり、終われば子どもは「次、何するの」と受け身に終始し、主体的な学びとは遠いものとなりかねない。

では、どうするか。国語の学習との関連や連携を重視し実践することである。国語では、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」などの指導内容相互の関連を図りながら、系統的に言語能力を高め、そのための言語活動の経験が積み上げられるようにしている。学習指導要領解説・国語編に掲載されている「各学年の目標及び内容の系統表(小・中学校)」でそれらを把握するのが第一。
次いで、採択されている小学校および中学校の教科書の具体的な内容を把握し、学習活動およびその指導のイメージを明確に持つようにする。これらを各教科等の指導等全教育活動に関連させ、連携させて、子どもの主体的な言語活動が活発になるように指導する。

(2)基礎的・基本的な知識・技能の活用力を高めているか
体験的な学習や問題解決的な学習を子どもができるだけ主体的に進めるためには、子どもが既習の知識・技能や学習経験を活用できるようにしておかなくてはならない。活用の学習経験は、次のように発展していくことが意図されている。

ア=各教科の系統的な内容の学習において新たな学習課題の解決に既習事項を活用する。
イ=各教科の学習において教科内の違う分野の知識・技能や学習経験を活用して学習する。
ウ=各教科等の学習において教科等で学習した知識・技能や学習経験を活用して学習する。
エ=総合的な学習の時間において、子どもが各教科等で学習した知識・技能や学習経験を選択して自ら学習課題の設定や解決のために活用する。

ア~ウは教師の指導のもとに活用する学習経験を積むが、エでは子どもが主体となって活用を実践する。教師はこれを支援する立場でかかわるようにする。以上のア~エの活用の指導を相互に関連させ活用する力を高めていくよう指導する。

(3)学習の振り返りをきちんと行っているか
学習の導入で子どもが学習の見通しをもつことは、学習への興味・関心、動機付け、学習意欲を高めるために必要であり多くの授業で行われている。
しかしながら、終末の振り返りについては、大切に思いながらも意外と簡単に扱われている例が多く、結果的に軽視されている。そのため、学習が次に有機的につながっていかない。

学習の振り返りは、本時のねらいや課題について学習したことを振り返って、分かったことやできたこと、学習の仕方や取り組み方、自分や皆の変容などこの時間の学習の意義や価値を明らかにするとともに、課題として残ったこと、次の時間にどうつなげるかなどを明らかにするために行う。その結果は、家庭学習にもつながるものであり、学習意欲の継続や学習習慣の確立に重要な機会である。これをきちんと行う指導計画を立てて授業することで次の時間の見通しにつながり、学習活動は探究的に展開することが可能となる。学習の見通しと振り返りを次につなげていけるようにする指導が、アクティブ・ラーニングでは重要である。

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