役割のない主任教諭がいる ミドルリーダー育成が課題

役割を与えていない主任教諭がいる学校が半数以上。ミドルリーダー育成のためOJTが課題――。東京都中学校長会はさきごろ、「学校経営の改善における現状と課題」を主題に、平成27年度研究大会を開いた。

 

大会ではこの中で「教職員の資質向上とOJTの充実」として、主任教諭の現状についての調査報告が行われた。同会研究部副部長の五十嵐浩子小平市立上水中学校長は「校長は、教職員、ことに主任教諭などミドルリーダーの育成のためOJTに努める必要がある」と指摘した。
調査は都内64校を抽出し、対象校全てから回答を得た。

現在、各中学校には教職経験の短い教職員が多く在籍している。主幹教諭や指導教諭とともに学校運営を支える主任教諭の育成が課題となっている。調査校では、全校に主幹教諭、指導教諭が配置されているが、主任教諭は配置されていないところがあった。配置には大きな差があり、主任教諭の在籍割合が最も高い中学校では、教員数24人に対し13人と54・2%を占めていた。

主任教諭に担わせている役割で最も多いのは学年主任で90・5%。そのほか研究主任49・2%、特別支援コーディネーター47・6%、保健主任42・0%と、学校全体で見て、組織的に推進する必要がある役割を任せている傾向がある。

半面、役割を与えていない主任教諭がいると答えた学校が53・1%あった。理由は、主任教諭の数が分掌主任の数を超えている61・8%、教諭の中に分掌主任を任せたい人がいる32・4%、分掌主任を任せられない29・4%だった。

「主任教諭選考受験資格者」が在籍している中学校は59校(92・2%)に232人いた。
有資格者のうち今年度受験するのは91人で39・2%に留まった。
有資格者が受験しない理由は「意志がない」が83・3%で最多。次いで自信がない、家庭事情を抱えていると続く。主任教諭のやりがいや魅力についてさまざまな場面で説いていく必要がある。

校長が受験させるにあたって重視したのは、「主任教諭としての資質、能力を有している」「将来、学校運営上のリーダーとして育成したい」「校務分掌等、学校運営上の重要な役割を果たしている」だった。

それでは、主任教諭にどんなOJTを行っているのか。最も多かったのは「担当している職務に責任を持たせる」84・4%、「日常的に指導・助言する」82・8%、「適宜質問や報告をさせる」と「職務実施後の成果や課題を確認させる」56・3%だった。

将来、管理職候補として育成したい主任教諭はいるかでは、56校(87・5%)がいると答えた。現在彼らに担わせている役割は、学年主任51・8%、研究主任28・6%、教務主任16・1%だった。

主幹教諭や指導教諭といった4級職選考の有資格者が在籍しているのは58校(90・6%)で235人。実際に受験する人がいる学校は23校(39・7%)。受験者数は26人で有資格者の11・0%にすぎなかった。
受験しない理由は「意志がない」88・6%、「家庭の事情を抱えている」37・1%。

主任教諭に分掌主任を任せ、リーダーシップを発揮する場面を経験させ、主幹教諭の職務遂行やマネジメント能力から学ばせる必要性がある。校内で意図的・計画的なOJTが必要である。

校内研究、校内研修を行う際に工夫していることでは「研究授業を行う」92・2%、「研究授業後に協議会を開く」81・3%、「専門的な指導を受けるため外部講師を招聘する」79・7%、「小グループを編成してグループごとに分科会で研究する」57・8%だった。

校内研究のテーマで多かったのは、「学習意欲の向上と学習習慣の確立」60・9%、「思考力・判断力・表現力等の能力の育成」53・1%、「基礎的・基本的な知識・技能の習得」「指導方法の工夫・改善」51・6%だった。

新規採用教員の大量採用により、人材育成の必要性が指摘され、平成20年に東京都教員人材育成基本方針ができて7年が経過した。この間に新規採用教員が主任教諭選考を受験できる年数に近づいてきた。若手教員、将来の学校管理職の育成は都教委にとっても大きな課題となっている。

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