【連載】原点からの「情報教育」再考 2 情報発信では冷静さが第一

(一社)コンピュータソフトウェア著作権協会専務理事 久保田裕

 
 前回、私は、「情報」教科で教えるべきは何かと問い、「情報」の定義を、「人と思想・感情などの意味を共有するために内容を表現したもの」ではないかと書いた。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などネットを通じた発言も、授業の内容、親子の会話も「情報」であり、伝えるべき「情報」と、それを伝えるのに最もふさわしいメディアの選択を教えるべきではないかという問題提起である。

昨年、フリー編集者の小梶さとみさんとの共著で出版した『人生を棒に振るスマホ・ネットトラブル』(双葉社)にも書いたが、昨今、ツイッターなどSNSに書いたことが「炎上(大量の批判を集めたりトラブルを招いたりすること)」する事件が多い。

10月末に(一社)セキュリティ対策推進協議会(SPREAD)が主催した「セキュリティとモラルのガイドブックで学ぶ セキュリティとモラル」という講習会に参加したところ、講師である国際電子ビジネス専門学校(沖縄県那覇市)の副校長、淵上真一氏の講演に、この点で共感するところが多くあった。

例えば、炎上を招くような投稿について淵上氏は、「ツイッターなどのつぶやきで炎上をしてしまった人に原因を聞くと、大半はノリと勢いで書いてしまったと言う」と語る。「意外なのは、いつもと同じようなことを書いただけだったのに炎上したと言う人が多いこと」と淵上氏。

この炎上の仕組みについて、「本人はいつもと同じように書いているつもりでも、少しずつ過激になっている。そこに本人は気付いてない。それがある日、炎上を招くような発言をするところに達してしまう。炎上を防ぐには、自分が書いている内容を常に読み返す習慣をつけること。そうすることによって、冷静になることができる」と分析した。

この指摘には、人に対して伝えたい情報は何かを吟味することと、メディアの選択の問題も含まれている。ノリで書いたメディアがツイッターなどSNSであれば「炎上」も起こるが、特定の信頼できる友人に1対1でメールなりメッセージなりを送信したなら、「炎上」が起こることはないだろう。

内容によって、ツイッターがいいのかフェイスブックが向いているのかLINEが適しているのか。メディアの特性や受信する範囲で変わってくるはずだ。もしかしたら、電話のほうがいいのかもしれないし、直接会って話す方がいい情報もある。

そうしたメディアの選択と、それに合わせた内容を書くこと。そのことを学ぶのが、本来の「情報」ではないだろうか。

ちなみに、淵上氏の講演の大半は、ネットを使う場合、危険な目に合わないためにはどうすればいいのかという内容だった。「トラブルが起きそうになったら、初期の段階で相談すること。大ごとになってからだと対応も大ごとになってしまう」との指摘は、学校でも常に教えておくべきだと感じた。

スマホを所持し、SNSを利用することが日常生活の一部となっている現代人に、「ネットは危険だ。だから使うな」と言うだけでは、もはやネットトラブルに対応するのは不可能だろう。危険がたくさん潜んでいるスマホ、ネット世界であればこそ、利用者は情報の選択と露出の仕方を正しく選択することが大切で、情報の発信については常に冷静になることが重要になってくる。

そのことを、学校でもぜひ、児童生徒に教えてほしいと思う。

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