【連載】目指せ管理職 選考試験試験を突破しようⅡ 第27回 校長の管理力―調査書・内申書の扱い

教育新聞教育管理職研究会 編

 

校長の管理力―調査書・内申書の扱い

 

○入試にかかわるミスは人生を左右する

入試の季節が近づいてきた。受験する児童生徒はもちろん、送り出す側の保護者や学校の緊張感が高まる季節である。同時に、受け入れ側にとっても気の抜けない季節でもある。入試に関わる学校側のミスは、児童生徒の人生を左右する深刻な問題であり、入試制度の根幹に関わる問題であるだけではなく、学校への信頼を損ねるという大きな問題でもある。

○ミスが起こることを前提にする

近年、小・中・高校での内申書の記載ミス、受け入れ側の学校の採点ミスや司法試験での試験問題の事前漏えいまで起こり、学校種にかかわらず厳正・公正な試験を求める声はいっそう高まっている。もちろん、各関係者は細心の注意をはらって対処しているはずであるが、ミスが報道されない年度はないくらいである。どんなに注意深い人間でも、ミスを犯さない人間はいない。管理職としては、ミスは起こりえるとの前提で、細心の注意をはらい、チェック体制を工夫するなどして、この問題に対処する必要がある。

○デジタル機器を過信しない

いままでの例を見ると、多くはパソコンなどのデジタル機器を過信した例が多い。例えば、コピーする場合、機器やソフトは正しく動作しているのだが、コピーする範囲やペースト範囲が一行ずれてしまうと、その行以降の全てのデータが変わってしまう。

データを打ち込む時点での入力ミスも少なからず報告されている。しかも、そのデータが活字として出力されてしまうために、もっともらしい姿でわれわれの目の前に現れてくる。これは極めて危険である。デジタル処理は完璧ではない。全ての処理を電卓と短冊でアナログ的に行っても時間と手間がかかり、デジタル機器の正確さと早さには及ばない。デジタル機器の使用は必要不可欠なものとして対処したい。

○2系統での処理で万全を期す

デジタル機器を使用する場合、チェックには多重化しか対応策はない。元データと入力後のデータを比較し、相違がないか調べることは必要だが、重要データの処理は2チームに分けて進めるのが望ましい。同じデータを使い、それぞれ別のチームで処理を進めるのである。その際も、同じソフトウエアではなく、それぞれのチームでソフトウエアを別に用意し、独自のプログラムを作成する。

最終的なデータ(例えば、児童生徒名と内申点の対応表)を印字し、つきあわせる。これが一致していればミスがないのを確認できる。もちろん、元データの作成は各担当者が責任をもって正確に作成する必要がある。その際、元データの作成根拠を記録に残したい。評価が公正・正確に行われているのを、いつ、いかなる時でも示せるよう教員に指導しておく必要がある。

○チェックは多様な方法で行う

最終チェックは、管理職の責任において行うが、その前にさまざまな段階でチェックしたい。例えば、児童生徒が学年が上がった前後で急激な評価の変化はなかったか、特定の教科の評価だけ落ち込んでいないか、観点別評価と総合評価に相違はないかなどを確認する。教科担任、学年主任、教務主任などでチェックの内容を分担しておくとよい。

調査書・内申書の扱いは教育委員会によって対応が違うが、ほとんどの自治体で開示請求できる今日では、かつてのように児童生徒個人の情報を本人に秘密にする理由はなくなっている。さらに、これらの過程で、ひとつでもミスが見つかった場合は、全ての作業を最初からやり直す覚悟をもって臨みたい。

学校で扱う入試の内申書、指導要録や通知票などには、その児童生徒の重要な個人情報が記載されている。教職員は、情報をデータとして見がちであるが、その情報が児童生徒の進路や将来の人生を大きく変える場合もある。「データではなく、児童生徒の人生そのものである」との認識に立つ教職員を育てたい。

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