学校経営ここがポイント この時期はここが大事 1~3月期

一般財団法人教育調査研究所研究部長 寺崎千秋

「社会に開かれた教育課程」視点に次年度へ備える

1~3月期は、学校評価を適切・的確に行い、今年度のこれまでの教育の成果と課題を明らかにし、教育課程の改善や学校運営の見直しをするときである。誰もが分かっていることではあるだけに、教育の質が実質的に向上し学校改革が具体化し具現するように行われているのかが問われる。ルーチン作業、アリバイづくりに終わり、時間をかけたにもかかわらず次年度も同じことが繰り返されるといった結果に結びつくようであってはならない。学校のよさや強みをしっかりと確認して継続・発展を期すとともに、課題や弱点をどう解決したり克服したりするのか具体策を講じなくてはならない。学校長を中心に一人ひとりの教員が真に子どもを育む教育課程の改善と学校運営の見直しを行うときである。

「社会に開かれた教育課程」を視点にして

中央教育審議会教育課程企画特別部会が8月26日に「論点整理」を出した。その意図は、「学校を、変化する社会の中に位置づけ、教育課程を全体に体系化することによって、学校段階間、教科等間の相互連携を促し、さらに初等中等教育の総体的な姿を描くことを目指すもの」としている。そして、これからの教育課程の役割について、「社会の変化に開かれ、教育が普遍的に目指す根幹を堅持しつつ、社会の変化を柔軟に受け止めていく」ことが期待されているとする。

すなわち、教育課程が社会や世界の状況を幅広く視野に入れたものになっているか、社会や世界に向き合いかかわり合っていくために求められる資質・能力を意識しているか、地域の人的・物的資源の活用、社会教育との連携など教育課程の目指すところを社会と共有・連携するようにしているか、などである。

例えば、現行の教育課程で一例を上げれば「持続可能な開発のための教育(ESD)」は、まさにこれらに該当する。こうした視点から教育課程全体を見直すとともに、教員一人ひとりの視野を広げる研修が必要である。

「アクティブ・ラーニング」を観点にして

「論点整理」では「アクティブ・ラーニング」の意義を示している。本稿および本紙連載の「アクティブ・ラーニング2.」において繰り返し指摘してきたが、「アクィティブ・ラーニング」は現行の教育課程において、各教科等、特に総合的な学習の時間の学習指導で確実に行うことになっている。しかし、実態は十分なものにはなっていないことが報告されている。

各学校・教師の授業力はどうだろうか。相変わらず教師中心、子どもを受け身にする指導が繰り返されていないか。だとすれば、どう改善していくかを明らかにする必要がある。「与えて・させて・急がせる」指導ではなく、「学習の課題を何にするか、学習方法はどうやるか、学習計画は、グループ編成等は」などについて子どもに自己決定させ、自力解決するように「聞いて・助けて・任せて・見守る」といった指導観・学習観の転換を図る必要がある。

子どもを受け身にするパッシブ・ラーニングやパッシブ・ワーキングからアクティブ・ラーニングへの脱却が必要である。その評価は、難しいことではない。各教科等の指導で「活用」の指導がしっかりと行われ、総合的な学習の時間において既習事項や既習経験を子どもが主体的に活用する探究的な学習や協同的な学習が確実に行われているかを評価して一人ひとりの授業を見直し、何をどう改善するかを一人ひとりが自覚することである。

「カリキュラム・マネジメント」を観点にして

「論点整理」では、「カリキュラム・マネジメント」の重要性を示している。「教育課程の編成・実施・評価・改善」というカリキュラム・マネジメントは当然という声が聞こえてくる。しかし、これが確実に実施されていれば教育の質はもっとよくなるはずであるが、どうもそう言えない現実がある。例えば、国の学力・学習状況調査では「活用」の学力の結果が思わしくない、向上してこない。また、子どもの学習意欲も依然として低い状況が続いている。これらの結果から、カリキュラム・マネジメントが的確・適切に行われていないのではないかと問われてもやむを得ない。「論点整理」ではカリキュラム・マネジメントを以下の3つの側面でとらえることを提唱している。

(1)各教科等の内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科横断的な視点でその目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。
(2)教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データに基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。
(3)教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。

現在の教育課程の見直しでは(2)がよく行われているが、今後(1)や(2)の側面を「チーム学校」の視点からもっと重視する必要がある。前述のアクティブ・ラーニングを重視するには、これらの側面が欠かせないからである。現行の学習指導要領総則でもこれらのことは重視しているのである。

校長等のリーダーシップの発揮

年度末の学校評価・総括的な評価では、とかく総花的に行うことが問題になっていた。今年度の学校評価では「論点整理」のカリキュラム・マネジメントの考え方を取り入れアクティブ・ラーニングを重要な学校評価の視点にして評価し改善を図ることに取り組むことを進めたい。授業が変われば子どもが変わり、子どもが変われば学校が変わる。これはよく言われることであるが、アクティブ・ラーニングを視点にしてカリキュラム・マネジメントを全員で一つになって取り組むよう、校長等のリーダーシップの発揮に期待したい。

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