【連載】クオリティ・スクールを目指す 第67回 教師主導の授業は変わったか

教育創造研究センター所長 髙階玲治

生徒主体の学習への転換を

ベネッセが教育委員会版の教育情報誌『VIEW21』(2015年、Vol・3)を発刊した。特集は「多様な学び方への挑戦」であるが、冒頭のデータを見て驚いた。

中学校社会科であるが、「授業で取り入れた学習活動の実施割合」で、「自分の意見の発表」は「1割ぐらいの授業で行う+ほとんど行わない」が17・4%(08年調査)もあった。2割近い授業で、生徒の意見発表がほとんどない展開が行われていたのである。2014年は若干減少しているといっても13・2%である。

また「グループでの話し合い」は同じく39・8%と29・5%である。授業中、生徒の意見発表がなく、グループ活動もない授業がこんなに多く行われている。講義式の授業で教師は満足しているのであろうか。

アクティブ・ラーニングは中学校に早急に必要、と言いたい状況がある。

実のところOECDの国際教員指導環境調査(TALIS2013)では、中学校教員には、極めて大きな課題が示されていた。例えば、「生徒のための発問を工夫する」は、日本の教師は42・8%なのに対して、調査参加国平均は87・4%であった。「様々な指導方法を用いて授業を行う」は43・6%に対して77・4%であった。

なぜ、わが国の教師はこのように低いのであろうか。授業への学校格差や教師格差が大きいのであろうか。この状況は早急に改善する必要がある。

一方でOECDは、わが国の授業研究の質の高さを指摘する。同誌は、山形県村山市立楯岡中学校(小山智弘校長)の実践を紹介している。「探究的学習」をテーマにした実践であるが、研究の視点は、(1)主体的な学びの工夫~学習意欲の向上(2)協働的な学びの工夫~思考力・判断力・表現力の育成――である。まさにOECDが指摘している課題克服の印象がある。

授業では、習得型学習はスモールステップで発問するが、探究型学習では大きな発問に留意し、教師が教え込むのではなく、生徒から考えを引き出し、発言させるイメージで、教師間の共通実践を進めているという。また最終的な目標を「自己教育力」として、生涯にわたって前向きに学び続けられる人材を育てたいとしている。このような考え方は、中教審が進めている次期教育課程の方向にも合致する。

ベネッセの調査も、OECDの調査も、共に極めて大きな課題を感じさせるが、楯岡中学校の実践に学べば、アクティブ・ラーニングに転換できる方向が見えてくるのではないか。

教師主導の講義式の授業はきっぱりやめて、生徒主体の授業へと転換することは、教師の決断にかかっている。自ら学ぶ力を獲得することこそ、将来への何よりも必要な教育であることを踏まえ、そのための教師自身の変容を考えたい。学校が組織的に授業を転換するのも重要で、早急に進めたい。

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