【連載】教育現場の課題をひもとく アクティブ・ラーニングⅡ⑥ ALの評価力を高めているか

(一財)教育調査研究所研究部長 寺崎千秋

重視の意味は理解されたのか

アクティブ・ラーニングのラーニング(学び、AL)の質を高めるためには、学習の評価が的確・適切に行われることが必要であり、その際、特に次の点を重視したい。

(1)評価の基本の確認

現行の学習指導要領総則に示されている評価の基本は児童生徒の「よい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに、指導の過程や成果を評価し、指導の改善を行い学習意欲の向上に生かす」ことである。子どもの立場からすれば、自分のよい点や進歩の状況を自覚できることであり、学習意欲が高まることである。

そのため教師は、学習の過程や成果をしっかりと把握し、よい点や進歩を子どもが自覚できるようにしたり伝えたりするのを重視して、しっかりと評価できるようになることが求められる。これが、基本中の基本である。

(2)評価方法の工夫

アクティブ・ラーニングにおいては、子どもが能動的に学ぶことからその活動の状況を把握しやすく、そのメリットを十分に生かすことが必要である。すなわち、論述やレポートの作成、発表、グループでの話し合い、思考ツールの活用などといった多様な活動に取り組む状況について、パフォーマンス評価を取り入れて、多面的な評価を工夫するようにする。

ルーブリック評価やポートフォリオ評価などを取り入れて、子どもの学びの姿や身に付けた力、子どもの変化や変容などをより的確に捉えるようにする。従来の教師による一方向の評価に加えて、これらの評価方法を研修で身に付け、子どものよさや進歩をしっかりと把握し、評価によって子どもが自己のよさや進歩を自覚し、喜びを感じ、自信や意欲が高まるようにする。

(3)学習過程の評価と教師の観察力の向上

アクティブ・ラーニングでは、子どもの主体的、協働的な活動が展開されており、教師は時に全体を見渡し、時にグループや個々を観察する時間を確保できる。これを生かし、子どもの学びの状況を把握するため、教師は子どもへの観察力を高める必要がある。

活動の状況や変化を目でしっかりと見取る、グループでの話し合いの内容やつぶやきなどを聞き取る、メモや記録、まとめなどの文章に表現したものを読み取る、活動の姿や動きから子どもの内面を感じ取る、活動の意図や考えをくみ取る――などを、適宜、状況に応じて行うようにする。

すなわち「見取る、聞き取る、読み取る、感じ取る、くみ取る」の「5取」の力をつけ、発揮することである。一斉型の指導では、これだけきめ細かに一人ひとりを観察するのはむずかしい。アクティブ・ラーニングではこれが可能になり、そのメリットを生かして、子どもの学びの質を高める次の助言や指導につなげ、生かすようにする。

(4)自己評価・相互評価・他者評価の活用

アクティブ・ラーニングでは、課題の発見・解決に向けて主体的・協働的に学ぶということから、その評価においても、教師に評価されるという受け身の立場ではなく、子ども自身による自己評価や子ども相互の評価を重視したい。単元や本時の目標や課題、これらを受けた自己の目標や課題、自分で設定した課題などをもとに、自己の学びの過程や結果を自己評価したり、友達と相互評価したりして自分のよさや進歩を自覚する。また、ゲストティーチャーなどからの評価を子ども自身が受けて自己の学びに生かすことも大切にしたい。

これらは、評価を子どもに任せて教師が評価をしないという意味ではない。自己評価し、相互評価し、他者評価を受け止める子どもたちの状況を教師はしっかりと観察し、評価し、子どもたちの、主体性の発揮や身に付けた資質・能力等を把握して、以後のより適切・的確な指導につなげ、子どもの学びの質を高めることに努めるようにする。

上記の取り組みにより評価能力を高めることで、アクティブ・ラーニングの質を高めることができる。

(この項、終わり)

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