【連載】目指せ管理職 選考試験を突破しようⅡ 第28回 学校感染症から子どもたちを守る

教育新聞教育管理職研究会 編

 

○知識や対処の基本について十分に知る

集団で生活している学校では、ウイルスや細菌などによる感染症の被害に遭いやすい。特にこれからは、暖房の季節になり、換気が不十分になることもあって、いっそうの注意が必要である。感染の拡大には、3つの原因があり、「感染源、感染経路、個人の免疫力の低下」の悪条件がそろった場合である。そのために管理職としては、学校感染症の知識や対処の基本について十分に知り、教職員や児童生徒への指導および管理にあたりたい。

○基礎体力をつけて、予防する

学校感染症の中でも、感染力の強い季節性インフルエンザやノロウイルスには、予防こそが最善の対策である。一般的に行われているインフルエンザの予防注射も、免疫力を高めるのが目的だが、日常的な児童生徒の体力の向上こそが、さまざまな対応策に先立って行うべきことだ。

同じ数のウイルスを体内に取り込んだにもかかわらず、発症しない者や、発症しても軽微な症状ですむ者、重篤な状況に陥ってしまう者などがある。各個人がもっている基礎的な体力が関わっていると考えられる。規則正しい生活習慣や授業の保健・体育だけでなく、体力向上委員会等の組織を生かし、学校生活全体で体力向上に向けた日常的な取り組みを心がけたい。

○感染症に関する情報に目を光らせる

校長には、自校だけでなく近隣地域の感染状況にも目を光らせることが求められる。全国や地域での発生状況、隣接学校の状況、家庭内での発生状況などにも注意を払い、自校での感染拡大が始まる前に、その準備を整えておくのは、管理職としての責務である。毎日、子どもたちの様子を見ている学級担任はもちろん、専門的な知識をもつ養護教諭の意見に耳を傾ける必要がある。

日本学校保健会によって運用されている「学校欠席者情報収集システム(昨年11月現在、全国25県の小・中・高校2万3110校と、6県6政令指定都市の約8631園の保育園、約800園のこども園で実施。小・中・高校は全体の48%となる)では、インフルエンザと感染性胃腸炎の感染状況が毎日更新されており、全国レベルだけでなく、地域の感染状況もリアルタイムで知ることができるので、ぜひ活用したい。学校保健委員会などの組織を活用し、「感染症対応マニュアル」を作成しておくのも有効である。

○保健学習をすすめ、感染経路を遮断する

感染が確認された場合は、原因のウイルスなどによって、その対応は異なる。接触、飛沫、空気などによって感染は拡大するのだが、防止には「感染経路の遮断」がもっとも有効である。感染者自身が感染を広げない努力、非感染者がウイルスなどを取り込まない努力の双方が必要である。マスクの着用やアルコール消毒、うがい・手洗いの徹底など、細かな対応を徹底する。換気の重要性、嘔吐物の処理方法、家族内で感染者が出た場合の対処方法なども周知し、実践的な保健学習を進めておきたい。

○迅速、的確に対応する

感染者に対しては、学校保健法第十二条の「校長は、伝染病にかかつており、かかつておる疑いがあり、又はかかるおそれのある児童、生徒、学生又は幼児があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる」に則り、当該生徒への出席停止などの措置を講じる。

校内で急激に感染が拡大した場合は、校医と相談した上で、同第十三条の「学校の設置者は、伝染病予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる」に規定された「臨時休業」の措置を、設置者、教育委員会に具申すべきである。判断基準や具体的な手続きについては、自治体によって異なっており、校長はこのことを十分に承知して対応しなくてはならない。

学校感染症を起こす原因ウイルスなどは、多種類にわたり、個別にその対応は異なる。対応マニュアルがあっても、それに沿えない場合も多くある。校長は、これからも新しいタイプのウイルスなどが出てくる危険性なども考え、常に多くの児童生徒の命を預かり、健康を守る義務と責任があることを自覚しなくてはならない。

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