提言 次期学習指導要領改訂に向けて 課題発見や協働性磨く学びに

世界で活躍する日本の技術の素晴らしさを再確認するテレビ東京系列の番組「和風総本家」、常に高い品質を目指し、協働的に開発に勤しむ技術者魂を熱く伝えた池井戸潤さんの『下町ロケット』、国境を超え、身を賭して救助・救援に立ち向かう人々の姿を描いた東映の映画「海難1890」は、昨年、私の心を大きく揺さぶった作品である。自らも人としていかにいくべきかを学んだだけでなく、「日本っていいな」「日本ってすごいな」と改めて思い知ることができた。

資源の限られたわが国が第2次世界大戦後の焼け跡の中から不死鳥のようによみがえり、大きく羽ばたいてこられたのは「ものづくりの心」と「品質の高さ」である。そして、品質の高いものづくりを支えてきたものが、創造、開発、生産、販売などに関わった多くの人々である。それらの人々に共通に備わっている資質能力が創造性、自立性、チームワーク力、問題解決力、コミュニケーション力などである。

次期学習指導要領に向けた改訂の流れの中で、育成すべき資質能力として掲げられているものと合致する。さらなる困難が予想される時代、先行き不透明な時代を子どもたちは生き抜いていかなければならない。「正解のない、答えが一つに定まらない難問や課題に遭遇したとき、一人ひとりがひるまず、責任を持って自己の考えや思いを述べ合い、力を合わせて少しでもよりよい解を見いだすという考え方や生き方」が強く求められるのである。

その切り札として提言されているのがアクティブ・ラーニングの考えである。「課題の発見、解決に向けた主体的、協働的な学び」と意味づけられているが、学習活動や形態の改善だけでなく、人の考え方や生き方に関わるものと捉えられている。

このような資質能力について、各教科や道徳、特別活動などでも、アクティブ・ラーニングを通して、積極的かつ日常的に、つまり1時間1時間の授業の中でも育んでいこうというのが、今回の改訂である。

これまでも、これからも、その育成の要になるのが総合的な学習の時間である。小学校や中学校、高校で、身近な地域やわが国、世界が直面している課題に対して、同級生や年齢や立場の異なる多様な人々、専門家とコミュニケーションを図りながら協働的に、それまでに各教科などで身に付けた知識や技能を駆使し、その発達段階なりの解決を行ったという体験が大切である。

このような体験が将来、難題課題に遭遇したとき、その解決に必要な力を引き出すのである。

わが国は、少子化という大きな課題を抱えている。一人ひとりがよりよい生活を追究するとともに、社会で力の発揮を求められている。また少子化に伴う過疎化が懸念される中で、地域の課題を理解するとともに、良さや可能性を生かし、地域課題の解決や活性化に立ち向かう人材が求められている。
「地域創生」を担う人づくりにおいても、この総合的な学習の時間の存在意義は、ますます大きくなる。

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