【連載】クオリティ・スクールを目指す 第68回 集団・個別情報を指導に生かす

教育創造研究センター所長 髙階玲治

子どもの多様性にどう向き合うか

最近の学力論議をみていると、相も変わらず学力調査の成績のみをみて、全国的な傾向による是非を論じているようにみえる。それぞれの学校の実態に応じた学力の傾向を考慮していない。表面的すぎるのである。

実のところ、全国学力・学習状況調査の分析は極めて詳細であって、マル秘のため公開はできないが、それを生かせば学級対応のみでなく、個々の子どもの指導がより適切に行えるのではないかと考える。

そのデータは幾種類もある。例えば学級ごとに子ども個々の成績や学習状況について質問にどう答えたかというデータも示される。

学級の成績分布では、全国平均型や上位集中型などがあるが、特に留意したいのは、二極分離型や下位集中型である。また、A問題(基礎)はよくできていても、B問題(活用)があまりにもバラツキが大きければ、ATI(適性処遇交互作用)を考慮する必要がある。学習能力が低い場合、活用型の学習を苦手とするからである。それはアクティブ・ラーニングの場合もいえるのではないかと考える。学級の成績分布を把握することで、授業の在り方をより適切に変えていく柔軟性が必要である。

一方、個々の子どもの状況はどうか。学力形成には、生活基盤や学習基盤がしっかりしていることが重要であるが、質問紙調査で子ども個々の実態がよく分かる。成績がよくない子は、家庭学習が十分でなく、宿題も忘れがちで、したがって授業への意欲も低い。そのような子どもは家庭の養育態度がよくないと決めつけることがままあって、親とのコンセンサスがとれないと担任が嘆いたりする。しかし、子どもは毎日登校してくるのであって、問題傾向を見いだしたら、根気よく直接子どもを支援する体制を作りたい。

また、次のような子どもはどうであろうか。全国学力調査で、どの教科の正解も1問程度の子どもがいた。成績が極端に低い。そこで全国調査のデータを見てみると、早寝・早起き・朝ご飯は順調で、学校外の勉強は3時間以上、復習型の学習塾にも行っている。ただ、学校の復習はあまりやっていないようである。また、他の子どもとの違いは、学校はあまり楽しくないし、新聞を読まない、地域社会にあまり関心がない点である。

しかし、この程度で成績が極端に低い要因になるであろうか。実は外国籍の子どもだったのである。恐らく言葉のハンディから成績が低かったと考えられる。しかし、復習型の学習塾に通うなど、勉強には一生懸命である。

学校も担任も、適切な指導を、と考えているが、実は卒業まで半年では十分な指導ができない。学力調査を小5、中2で行ってくれれば、データを生かした指導を充実できそうであるが、そうならないのであろうか。

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