【連載】学校教育相談の歩みと展開 第4回 傾聴・共感・自己決定などが基本

函館大谷短期大学名誉教授 保坂武道

傾聴・共感・自己決定などが基本

■カウンセラーの三条件(魔法の三つ組)=ロジャーズ

(1)一致あるいは純粋性・自己一致=態度に表裏がなく、ありのままで純粋であること。飾りやみせかけではなく、カウンセリングは瞬間に流れる。

(2)無条件の肯定的関心・尊重=温かく受容することが大切。条件は付けない。審判や批判的態度ではなく、クライエントの存在を無条件に受け入れる。

(3)共感的世界=カウンセラーは、クライエントの私的な世界を、あたかも自分自身ものであるのように感じとることが大切。ポイントは「あたかも○○のように(as if)」という条件を失ってはならない。それゆえに、悲しい、悔しい、腹立たしいといったクライエントの感情を理解する。カウンセラーは、優しさを装ったネコなで声で相談に応じてはならない。

■具体的な進め方=カウンセリングの基本技法・傾聴技法

ア、受容=カウンセラーは、既存の善悪の価値観にとらわれず、一定の評価を下さず、クライエントの訴えや話を聞く姿勢が大切。クライエントが、自分の気持ちを聴いてもらったとの実感が大切。

イ、繰り返し=クライエントとしての児童生徒の発した単語や単文、話の要点を言って返す。この返しによって、自分の内的世界を整理させる。

ウ、明確化=本人がうすうす気付いている事柄を言語化させ、意識の幅を拡大させる。それによって、現実的な判断と行動がとれるようになる。

エ、支持=児童生徒の言動に賛意を表し、自己肯定感や自尊感情を高めさせる。

オ、質問・リード=児童生徒の思考・感情・行動や、過去に向けて問いかける。

カ、沈黙=ひとには話したくないこと、触れたくない体験、触れられたくない過去があるもの。カウンセラーは、それらを尊重する。沈黙は、クライエントが話したくなるのを待つ姿勢であり、その痛みや苦しみに、共感的に寄り添っているのを示す態度としてたいへん大切である。沈黙を気まずく思い、それにカウンセラー側が耐えられず、つい話しかけたくなってしまうとき、耐えて沈黙できるのも、カウンセラーの重要な資質である。

■カウンセリングの流れ

場面構成(雰囲気・座る位置・照明・冷暖房)では、正面で相対すると面接や聴取の場面になってしまうので、斜めの位置関係で座る。カウンセラーは、背後から窓の光や照明が差し込む位置に座ってはならない。こうした光背は、権威的な雰囲気になるからである。

流れの概要を示すと――。

(1)傾聴=話し上手より聴き上手・うなずきが大切・先入観にとらわれず(2)受容・共感的理解=あるがままを受容する・内容の繰り返し・感情を捉える・何を受容するかが大切(3)ラポール関係=安心感・信頼感・喜び・行動の変容を目指す(4)さらなる訴え=この人なら話せる・よく聴いてくれる(5)浄化=新しい見方・方向・行動の仕方・支持する・沈黙の意味を踏まえる(6)洞察=新しい見方、方向、行動の仕方(7)自己決定を促す=新しい方向を選ぶ・側面的援助・クライエントが自ら解決できる能力を持っている。・自ら自覚できる場とする。

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