【連載】目指せ管理職 選考試験を突破しようⅡ 第29回 学校力を高める異校種間の連携

教育新聞教育管理職研究会 編

 

○連携は教育現場の英知

教育は、幼・小・中・高校と児童生徒の発達段階に即して行われる。変化し続ける児童生徒に対して、より効果的な教育となるように小中連携や中高連携が叫ばれて久しい。その実践を試みている学校も多くなっている。校種の垣根を越え、連携協力することにより学習の質の向上や教育課題を解決していくという教育現場の英知でもある。例えば、中・高の交流・連携や地域の利点を活用した中学校と特別支援学校の交流・連携などさまざまな試みもされている。再度、連携による教育の重要性から、異校種間の連携を「教師間の連携」と「児童生徒同士の連携」を中心に考えたい。

○教師間の連携

▽引き継ぎ、情報交換には「指導経過を共有」する

児童の進学時における小・中学校の教師間の引き継ぎは以前から行われている。内容は、性格や健康状態、学力実態などが中心であり、個々の子どもへの指導経過についての引き継ぎは十分とはいえない。継続的な指導がもっと大事にされるべきである。そのためには、一時的な引き継ぎに終わらせることなく、小・中の教師相互が定期的に研修する場を意図的につくる必要がある。

▽相互に授業参観を行う

相互に授業参観を行うと、小学校ではきめ細かな授業が行われていること、中学校では専門的に授業が行われていることなど、それぞれのよさや違いを知ることができる。事後に必ず合同研修会を開き、指導観、教材観なども話し合うと互いにプラスになり、校種による特色や苦労なども見えてくるし、互いの課題も明らかになってくるはずである。指導の様子、生活や学習の様子、児童生徒の変化などに直接触れ、体験することは連携の大きな前進となる。

○児童生徒間の連携(異年齢による活動)

▽学校行事への参加

小学生にとって中学生は大人に見える存在。中学校の合唱コンクールや体育祭に小学生を招待したり、小学校の行事を中・高校生が手伝うなどの活動から上級学校に期待感をもったり、憧れたりもするだろう。これらの活動を通し、進入学時に大きな問題となっている、「小一プロブレム」や「中一ギャップ」などの克服の一助ともなりえよう。

▽地域行事での連携(地域の生活者としての活動)

通学路や駅前の清掃を小・中・高校の子どもたちが協力して行ったり、あいさつ運動、募金活動をしているところもある。その姿は地域の人たちに強い共感を与える。子どもたちの成長段階に応じて、社会に関わりをもたせることで自分自身の成長を実感させたいし、人や社会のために尽くせるという自己有用感も培うことができる。

○学習テーマなどによる連携

中・高連携により、キャリア教育の推進を図っているケースも見られる。教師間の交流、生徒間の交流から発展させ、物づくり体験の講座を組んで中学生を招待して、物づくりの楽しさや職業観を培うという試みである。工業や農業など専門高校の利点を生かしたキャリア教育の取り組みである。中学校と特別支援学校との交流実践もある。生徒会が中心となり、互いに交流の窓口を設け、どのような活動ができるかを話し合い、活動している。内容は、歌やゲーム、スポーツなどの中から生徒会が参加者を募り、年に数回実施している。

異校種間の連携による教育には、自校だけにとどまらず、他校を含めた組織的取り組みが必要だ。校長(副校長、教頭)には、これまでにない組織マネジメント力が求められる。教育改革への強い信念と前向きにチャレンジする姿勢が前提となる。その上で、教職員の意識を前向きに変えること。自校や地域の力を生かし、校種間の協議をしっかりと行い、具体的に「何に」「どのように取り組むのか」を明確にしたい。校長(副校長、教頭)としての先見性、積極性と強い指導力が望まれる。