提言 共生社会の実現に向けて活動

東京都公立中学校PTA協議会総務理事 西崎伸彦

 

私たちPTAは、さまざまな個性を持った生徒が日々安心して楽しく学校生活が送れることを願い活動している。目指している理想像は「今日が楽しく明日が待ち遠しくなる学校」だ。

子どもたちにとって今日が楽しくて、明日が待ち遠しくなるような理想の学校とは、どのような学校なのか。

東京都港区立中学校PTA連合会で、中学生100人にインタビューを実施した。当初、われわれが予想していた彼らの回答は、整備されたグラウンド、冷暖房などの設備であったが、それらを挙げる生徒は少数であった。

どんなことでも話せる友達がいる、信頼できる仲間がいる、絆の強いクラスなど、友達やクラスメートの存在を挙げる生徒が圧倒的に多かった。

次に挙げられたのは先生だ。情熱を持って接してくれる先生の存在といった声が多数あった。このインタビューから導き出されたのは、子どもたちが求めているのは、設備などのハードでなく、良好な人間関係だった。

子どもたちにとって魅力的な学校に必要な要素は「ハードよりハート」。これが結論である。

多くの生徒が在籍する学校で豊かな人間関係を形成するには、他と違う面を駄目と否定するのではなく、これからの日本に必要な「多様な個性」として積極的に認め、受け入れ、その力を最大限に伸ばす価値観とその価値観に基づく活動が必要であると考える。

この考えをベースに、PTA活動で大切にすべきことは何か。ポイントは3つある。

1点目は、多様性への理解である。当協議会では2015年2月15日に、一般社団法人東京都小学校PTA協議会とで組織する東京ブロックPTA協議会の主管として「日本PTA東京ブロック研究大会みんな違ってみんないい~発達障害の理解と支援」を実施した。参加者から大きな反響があった。アンケートの感想欄には「もっと多くの人に知ってほしい」「違うことは素晴らしいと分かった。地域で輪になって子どもたちを育み、自分たちも活き活きと過ごして行きたいと思う」などの文章がつづられていた。

障害について理解を深めるために、講演会や勉強会を実施したり、障害を持つ人との積極的な交流を通して互いを理解し学んだりするのが大切であると考える。またPTA活動を通して人間理解が深まり、障害者支援などを始める保護者もいる。まさしくPTAが支援の人材の源にもなっているともいえる。

2点目は、他者との連携である。1つのPTA団体でできないことも、学校や地域、他のPTA団体との連携によってより大きなことが実現すると考えている。

「あなたできないことを私がやり、私ができないことをあなたがやる。一緒に取り組めば私たちは偉業を成し遂げられる」。マザー・テレサが残したこの言葉の精神で子どもたちのため、互いの考えや立場を超えて連携すべきである。多摩市や港区では公立小学校PTA、公立中学校PTA、都立特別支援学校PTAが地域とも提携して活動している。また八王子市では教員と支援員が合同の特別支援教育の研修を行い、大きな成果を出している。これらは連携の力を使っている事例といえる。

3点目は、自らが模範となることだ。PTAはボランティア活動である。活動によって得られるものは金銭的な報酬でなく、社会貢献する喜びである。誰かの役に立っている喜びは、人が感じる喜びの中で最上位のものだと思う。

私たち大人が子どもたちの幸せを願って連携し共働し楽しくPTA活動している背中を見せることこそが、「社会は温かく未来は明るい」と子どもたちに希望を与え、勇気と生きる力を大きく育むことにつながるのではなかろうか。

こうした理解・連携・模範の精神を基盤として、子どもたちのため、共生社会の実現に寄与し続けるPTAでありたいと、切に願っている。

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