【連載】教師のための人間関係づくり 第8回 ストレス解消し安定状態を

明治大学文学部教授、教師を支える会代表 諸富祥彦

 

○どんな人が相談しやすいか

あなたが教師なら、どんな人が管理職だと、相談しやすいでしょうか。また、もしあなたが子どもだとすると、どんな教師になら相談しやすいでしょうか。

私自身が、「この人になら相談しやすいな」とい思える人は、「こころが安定した状態」の人です。喜怒哀楽があまりに激しい人だと、相談しづらいと思います。いつもフラットで、安定した、こころの状態を保てている人。そういう人になら、安心して、「実は、あの……」と、相談することができるように思うのです。

もしあなたが管理職で、先生方から「なんでも相談してほしい」と思っているのなら、あるいは、もしあなたが学級担任で、クラスの子どもたちに「なにかあったら、すぐ相談してほしい」と思っているのなら、可能な限り、フラットな「安定したこころの状態」を保つようにするといいでしょう。

○スイッチでこころを切り替える

しかし、これが案外と、難しいのです。

教師は、きわめてストレスのたまりやすい仕事です。これでもか、というほど多い雑務。指導の入りづらい子ども。クラスの子どもたちの学力を上げなくては、というプレッシャー。自分の子どものことしか見えず、厳しい注文をつけてくる保護者。ますます管理体制が強くなっていく職員室。相性の悪い同僚や管理職との人間関係――。

こうした、さまざまな人間関係に悩みを抱えた先生方が、こころの健康を崩していく場合も少なくありません。さまざまなストレッサーと上手に対処しながら、「安定したこころの状態」を保つ力は、これからの教師にとって、きわめて重要な「人間関係力」の一つだといえるでしょう。

また、ストレスを引きずったまま仕事をしていると、子どもや同僚にも、イライラが伝わってしまい、うまくいかなくなる場合が多いはずです。イラッとするのは、誰にでもあります。イラッとするのは、仕方がないことです。

問題は、イライラをひきずったまま、人と関わることです。その都度、こころのスイッチを切り替えて、安定した状態をキープすることが重要なのです。

○大声を出す、紙を引きちぎる

では、教師にお勧めのストレス解消法には、どのようなものがあるでしょうか。いくつか、お勧めの方法を紹介しましょう。

一つは、大きな声を出すことです。私はこれまで何人もの、うつ状態の先生方のカウンセリングをしてきました。多くの方にとってもらったストレス解消法が「大きな声で叫ぶ」という方法でした。いつも言いたいことを言えず、グッと我慢している先生方にいちばん有効な方法です。大自然の中など、大声を出してもいい場所が身近にあるのがベストでしょう。けれど、なかなかそんな場所は見つからないものです。そんな方にお勧めなのが、「ひとりカラオケ」です。今、東京では、「ひとりでカラオケ」が静かなブームになっています。カラオケルームなら、どんな大声で叫んでも、迷惑をかけることはありません。

二つめのお勧めの方法は、印刷ミスの紙をちぎる、という方法です。大声で叫びながら力いっぱい紙を破る。シンプルな方法ですが、これがけっこうすっきりします。いじめられている子や、親から叱られ続けた子など、攻撃性を抑え込んでいる子といっしょにやると、教育相談的な効果が高まるでしょう。

○アロマやポジティブな言葉も

三つめは、アロマスティックを携帯しておき、イライラしたときにトイレなどで嗅ぐことです。嗅覚は人間の脳のもっとも原始的な部分に直接作用する、といわれます。ミント系のアロマなどをトイレで嗅ぐと、ほんの数秒で気分転換を図ることができます。

四つめは、気持ちがへこんだとき、自分の支えになるようなポジティブな言葉、たとえば、「私には、できる! まわりがわかっていないだけ!」というような言葉を書いた紙をポケットに入れておき、時折見ること。小さな声でもいいので、自分で実際に言葉に出して唱えることができれば、さらにいいでしょう。

できそうなものを一つでも、やってみましょう!