【連載】校長のパフォーマンス 第58回 「共創」による組織変革

教育創造研究センター所長 髙階玲治

最近、企業などで、どう組織を変革するか、という論議があって、その論議に「共創(co-creation)」という言葉が目立って使われるようになった。外国の経営学者の論文にも多くみられる。比較的新しい言葉である。

この言葉は魅力的なニュアンスをもっていて「共同(協働)しながら創造する」という意味合いがある。かつてバーナードが組織活性化の要因として、「目標への統合」「コミュニケーション」「協働」の3つの柱を唱えたが、そうした組織変革につながる要因がある。

私が「共創」の言葉に初めて触れたのは十数年前であるが、東京大学の清水博名誉教授からである。直接お会いしたこともある。

清水氏の編著書は何冊かあるが、「共創」の提唱の意味は、生命的共同体を重視する立場から、「共創とは個の生命(創出の働き)が互いに関係しあって共同体の生命(共同体としての働き)を創出すること」と述べている(『場と共創』NTT出版・平成12年)。それを普遍すると生命そのものの働きのみでなく、共同体としての企業の組織の働きにも及ぶ。組織論につながるのである。前川製作所の前川正雄会長との『競争から共創へ』(岩波書店・平成10年)の図書もある。新たな企業変革への提唱の図書である。もしかして「共創」の言葉は清水氏が最初の発明だったのではないか。

私は「共創」の言葉をもっと平たく使用したいと考える。例えば、第2期教育振興基本計画は今後の社会の方向性として「自立」「協働」「創造」を掲げている。そうした意味合いを「共創」に含めることもできると考える。共同体としての創出の理念が含まれているからである。

その上、この3つの言葉はそれぞれをバラバラに使用すると固有の意味合いにとどまってしまうが、連続したまとめた形で使用すると理念としても奥が深い印象を与える。

さらに「自立」「協働」「創造」はどのような組織にも活用できる一連の言葉である。それを端的に「共創」として使用することで意味合いが大きく異なるであろうか。あるいは「共創」を固有の意味で使うべきであろうか。

ともあれ「共創としての学校づくりを目指す」という組織変革は今後の大きな課題であることは確かである。各学校が「新たな統合した目標」を掲げ、それを目指して教職員が「共同(協働)して取り組む」という、学校のあるべき姿の構築は多様化し複雑化する教育状況では必須の課題である。学校の「共創としてのまとまり」こそ大切ではないか。

それは単に「目標」への教職員の意識統合ではなく、新たな教育実現を図るという「創造」の意味合いがあることを重視したい。中教審の多様な動きをみても、新たな教育実現が予測できる。学校の在り方が大きく変わる可能性がある。時代の潮流は新たな「共創」を求めていると考える。