【連載】クオリティ・スクールを目指す 第69回 教科のカベを超えた交流

教育創造研究センター所長 髙階玲治

共通コードで授業改善目指す

中学校の社会科授業の3割程度で、生徒の意見発表がなく、グループ活動も行われていないという実態を、前々回の本稿(昨年12月14日付)で指摘した。調べてみると、理科の授業でも同じような傾向がみられることが分かった。OECD国際教員指導環境調査(TALIS)でも、中学校教員について厳しい結果が示された。なぜ教師主導の講義式という知識伝達型の授業がなくならないのか不思議な思いがする。高校は一層多いのではないか。

次期学習指導要領に向けてアクティブ・ラーニングが提唱されているように、教師主導から生徒主体に大きく転換する必要がある。そのことでは、中学校の授業調査もOECDの調査も2014年以前であって、今後急激にこの実態が変わることが期待される。だが、アクティブ・ラーニングを提唱するだけで、果たして授業風景は変わるであろうか。

アクティブ・ラーニングの導入には教師の「自覚」的な遂行が必要であるが、受験体制強化の中で培われてきた教師主導の知識伝達型授業は容易に変わるとは思えない。実際、授業は教科担任に任されているだけでなく、密室的な授業場面は、同じ校内の教員同士でも相互に認識することが難しい。

そのため教科間・教師間のカベが破れにくいのが中学・高校の課題である。教科専門のために、それぞれが固有の授業を行い、交流をよしとしない雰囲気がある。カベはかなり厚い。

実は、そのカベを破ろうとして取り組んでいる学校がある。「教科を超えて交流できる授業力向上システムの構築」をテーマに掲げている、さいたま市立与野南中学校(中島俊尚校長)である。

同校では、誰もが共通して実践できるように「共通コード」を作成した。次の7つの視点である。①教師と生徒の信頼関係がしっかりと築かれている②授業の目標・ねらいが明確である③生徒のやる気を高めるための工夫、アイデアがある④生徒の自信を高めるための工夫、アイデアがある⑤生徒一人ひとりに応じた手だてがある⑥ねらいに迫るための価値ある活動の時間がたっぷりととられている⑦生徒が学習への満足感や達成感を味わえる――である。

一見、きわめてシンプルのように見えるが、実際に1つの項目を実践するだけでも、かなり難しい。そこで与野南中学校は7つの項目のどれか複数のコードを自己の教科に生かしながら、全員が授業公開を行っている。

また、互いの授業を相互に参観することで活用できるスキルなどを自己の授業に導入している。教科のカベは確実に取り払われていく感じである。授業が変わるためには、教師個々の「自覚」が重要だが、校内の組織的な取り組みによって一層促進されるのである。授業改善の共通認識・共通実践を確立したい。