【連載】原点からの「情報教育」再考 4 子どもも著作権の主人公だ

(一社)コンピュータソフトウェア著作権協会専務理事 久保田裕

 

本義は禁止よりも創作の保護

この連載の第1回目でもふれたが、情報教育というと、コンピュータの扱い方を中心とした教育を想定してしまいがちだが、私は情報教育とは「情報の意味」を教えるものではないかと考えている。特に著作権は、情報の中でも意味や価値のある情報であり、著作権教育が情報教育の中核であるといっても過言ではないと思っている。

では、先生の「著作権教育」に関する意識はどうなのだろうか。昨年6月に公表された「学校における著作権教育についてのアンケート調査に関する報告書」では、そのことについてもふれられている。

この調査は、(公社)著作権情報センターと(一社)日本教育情報化振興会が、教育現場における著作権に関する認識や著作権教育の実態を把握するために実施したもので、報告書は日本教育情報化振興会のウェブサイトに掲載されている(http://www.japet.or.jp/Top/Comissioned/copyright/)。

この調査結果について、同調査で委員会主査を務めた大和淳(独)日本芸術文化振興会基金部長の講演を聞く機会があった。この講演で大和氏は、先生の多くが、著作権を「規制」と受け止めており、著作権法に抵触しないよう児童生徒に対して違法行為をやってはいけない、という「禁止教育」が行われている実態を語っていた。

私も小・中学校の先生に著作権について講演する機会があるのだが、多くの先生は、授業の範囲でなら他人の著作物を使う際に著作者に許諾を得ずに使っても良い、それ以外については児童生徒に違法アップロード、違法ダウンロードをさせないということにしか目がいっていないようなのだ。

ここで、基本に立ち返って考えてほしい。本来、著作権法は、創作を保護するために、著作者の権利を定めたものなのである。児童生徒も学校で作文などの著作物を創作している著作者だ。そのことを自覚させるようアプローチしていけば、著作権の人格権の部分を理解させるのは容易だろう。その上で、著作権法の大原則である「他人の著作物を利用するときには許諾をとる」という土台を理解させていくことができるのではないかと考える。

そこで活用してほしいのが、著作権について教員向けに解説した資料や児童生徒向けに開発された教材だ。文化庁や著作権団体では、啓発のため著作権に関する資料や教材を配布したり、ウェブサイトで公開を行ったりしているが、こういった資料や教材について「初めて知った」と回答する学校が8割にも上るという結果が「学校における著作権教育についてのアンケート調査」で出ている。

一方、資料があるのを知っていると回答した学校のうち、それらの資料を活用しているという回答者の7割が「資料等は役に立った」と回答している。つまり、役に立つ資料や教材があっても、それが実際には限られた教育現場でしか使われていないということなのだ。

このことについては、われわれ著作権団体としても反省すべきで、「情報の意味や価値」を知るためにも、著作権教育は重要であることを周知させねばならないと感じている。

今後は、行政・著作権者・団体・教育機関が連携し、資料・教材の開発を行っていくとともに、既存の資料・教材の紹介を積極的に行っていかなければならないと痛感している。

次の著作権に関する資料は、たいへん参考になる。

▽5分でできる著作権教育=http://chosakuken.jp/
▽Kids CRIC=http://kids.cric.or.jp/
▽はじめて学ぶ著作権=http://chosakuken.bunka.go.jp/chosakuken/hakase/hajimete_1/index.html
▽ACCS著作権Q&A=http://www2.accsjp.or.jp/qa/