提言 インクルーシブで学校経営 ケース会議などで支援体制づくり

茨城県取手市立取手小学校長 海老澤勤

 
 学校経営の理念を明らかにすることが大切であると思います。本校では経営理念を「どの子も活かしどの子も伸ばす」としました。それは、共生社会の実現に向けて障害のある子どもと障害のない子どもが共に学び合う「インクルーシブ教育」の考えに立ったものでもあります。

特別支援教育を推進するには、体制づくりのポイントがあると考えます。ひとつには、中核となる特別支援教育コーディネーターと教務主任・研究主任などの人的な面での体制づくりがあげられます。

ふたつには、運営面で考慮される支援組織の問題があります。定期的な「校内支援委員会」の他に、特別支援コーディネーター・研究主任を中心に行われる「校内研修部会」や生徒指導主事を中心とする「ケース会議」など、効果的な個別支援や学習支援の在り方を探るための校内組織のチームを生かした支援も大切です。

(A)校内の共通理解から実践へ

子どもたちは、一人ひとりそれぞれに違った能力・適性、興味・関心を持っています。学校においては、集団での活動や生活を基本としていますから、子どもたち一人ひとりが存在感を持ちつつ、共感的な人間関係を育みながら、豊かな自己実現を図っていくことができるように援助していきます。これは、「生徒指導の機能を生かした学級経営」ということにもなります。障害のある子どもたちには、「わたしと小鳥と鈴と~みんな違ってみんないい~」「教室はまちがうところだ」の詩にあるような個人・個性を認める考えに立っての学級経営や児童理解が求められるのです。本校では、車の両輪の関係にある学級経営の充実と学習指導をバランスよくすすめていくことを目指し、子どもの自己存在感を高めてきています。

(B)授業のユニバーサル化と合理的配慮

ある障害のある児童が交流学級で学習する場合に、児童の困難さへの支援を次のような3段階で行っています。
(1)クラス全体への支援(あると便利で役に立つ支援)(2)個への交流学級内での支援(ないと困る支援)【合理的配慮】(3)個に特化した支援(特別支援学級の活用・個別指導)
つまずき・困難さを明らかにすると同時に、その背景も考え、保護者・児童・交流学級担任・特別支援学級担任が思いや要望を出し合い、学習場面で一定の方向性や支援方法・役割などを「合意形成シート」にまとめて、明確にしていきます。さらに学期ごとに作られる個別の指導計画に沿って評価をしながら、次の合理的配慮を模索していきます。本校では、国語科・算数科を中心に「学習目標・内容の明確化」「学習方法の多様化」「学習環境の構造化」などから「どの子も活かし、どの子も伸ばす」授業づくりをすすめています。

関連記事