【連載】教育現場の課題をひもとく 言語活動の成果と課題④ 「真正の評価」をどうするか

埼玉学園大学人間学部子ども発達学科長 梅澤実

○生きて働くものとなるか

「真正の評価」とは、現実の状況やそれに近い状況において、学習者が学んだことが実際に生きて働くものとなっているかを評価することの重要性を指摘する考え方である。

真正の評価を行うためには、学習者が問題追究のために行う活動(例えば、発表、実演、レポート、発言など)で示されるさまざまな表現(パフォーマンス)を評価することが必要となる。それが、「パフォーマンスに基づく評価」である(西岡加奈恵『教科と総合に関するポートフォリオ評価法―新たな評価基準の創出に向けて―』図書文化社)。

そのパフォーマンスがどのレベルのものかという共通理解が必要になる。パフォーマンスの捉えが各教師で違っていては、意味がない。そこで、パフォーマンスを評価するための基準が必要になる。その基準を教師間で共有するためには、パフォーマンスの段階がどの程度かを具体的な事例を付けて示すことが有効である(ルーブリック)。

ルーブリックは、校内研究会などで、教師間で学習者のパフォーマンスについてそれぞれの捉えを「語り合う」ことを通して作成し、付加し、修正していくことができる。

○教育課程編成の重要性

言語活動の目的は、学力の3要素を統合したものでなくてはならない。そのことは先の回でも述べた。そうでなくては、言語活動が「させられる」ものとなり、形式的なものとなる。また、それは、1つの単元だけで育てられるものではない。小学校であれば、6年間をかけて培うものである。

そこで、6年間の各学年の各教科単元で、学力の3つの要素をどのように統合しようとしているかが見えるようにしておかねばならない。それが教育課程編成のポイントとなる。

それがあって、継続的な目で見(評価)、次の授業をデザインし、実践できる。そのPDCAサイクルの中から、各学校の言語活動が系統化される。

しかし、それは固定化されるものではない。教師が学校目標達成のために、授業設計(Plan)作成のための指針となるものであり、実践を通して(Do)、教師間で評価(Check)を共有し、子どもたちの学びに合わせて修正していくべきものである。そのためには、柔軟さという教師の力量が求められる。

○教師集団の力

言語活動重視やアクティブ・ラーニング導入が語られるということは、変革しつづける教師が求められているということでもある。学力の3つの要素を統合して捉え、指導するのは、教師自身が例示された授業方法を単に取り入れるだけでなく、それまでの知識観、学習観、子ども観といった自己の「観」を実践を通して常に振り返らねばならないからである。

それを可能にするのは、教師集団である。1人の教師が進めようとする言語活動に対し、「その活動で子どもは何を学ぶのか?」「子どもは、それを必要としているか?」と問うてくれる仲間の存在が必要なのである。仲間の問いかけによって、1人では見えなかった新たな地平が現れる。そうした問いを厳しく発しつづけてくれる教師集団によって、教育課程の編成がその学校独自のものとなり、教師の柔軟性が培われ、教師としての強さと自信、教師としての専門性が自覚され、「本校の教育課程」として保護者や地域に発信できるものとなる。同時に、外からのカリキュラム評価を可能にする。

これからの言語活動では、話す・聞く・書く・読むといった活動を単に取り入れるのではない。それらが、学習者の「真の学び」となるものであることが問われているのである。