【連載】目指せ管理職 選考試験を突破しようⅡ 第32回 気になる教職員への指導

教育新聞教育管理職研究会 編

 

○能力を発揮させるために

学校にもさまざまな職員がいて、中には高い能力をもっていながら、それを発揮しようとしない教職員や、自己の生活を第一義に考える教職員に出会う場合もある。このような扱いにくい教職員にも力を発揮させるためには、生徒指導の3つの機能が参考になる。

○1.自己存在感を与える

教育の複雑なプロセスを理解し実践できる教職員が、一時的にせよ、その能力を発揮していないのには、必ず理由がある。「時代の流れ、児童生徒や保護者の質が変化してきたことに対応しきれない」「若い時代は児童生徒と夢中で過ごしたが、ベテランといわれる現在、自分の役割が見えない」などがある。

しかし、教職員の多くは、それまでにたくさんの経験を積み、それを児童生徒の指導に生かしてきた。彼らのもつノウハウや技術は、急速に増えている若手教職員への指導に役立たないはずがない。彼らは、それまでに実践してきた記録や資料等を捨てることはなく、宝物にしているはずだ。ぜひ、紹介できる場面を設定したい。そのことは、他の教職員の資質向上に大きく貢献するはずであり、本人に自己存在感をもたせることができる。

○2.共感的人間関係を構築する

教職員には失敗を犯さず、子どもたちにも弱みを見せず、いかにも教師然としている教師や、時々失敗したり、間違ったことを子どもたちに謝ったりするような人間味ある教師などのタイプがある。

学校にはさまざまなタイプの教職員が必要であるのだが、管理職は近づきがたい雰囲気をもつ教職員とも共感的な人間関係を作り上げる工夫が必要である。まずは、その教員の実践を自分の目で見たい。おそらく、多くの場面でミスなく指導・実践をしているはずである。それを認めることからスタートする。日頃から意図的に声をかけ、打ち合わせや職員会議の講話などの機会を通して、その教員の実践を評価する。「あなたを認めているよ」という姿勢で常に接することで、「この管理職は、自分のよき理解者だ」と思ってもらえる。そういう関係ができれば、管理職としての思いも容易に伝えることができるし、謙虚に耳を傾けるようになるはずだ。

○3.自己決定の場を与える

学校は組織的に運営されている。したがって、教職員が校長の監督のもとに校務を分担することになる。この中では、一定の範囲内で各職員が自分の判断で校務を進める必要に迫られる。もちろん重要な決定事項は、管理職の許可を得る必要があるが、時に判断を誤る場合だって想定できる。そして、一定の範囲内で教職員が判断したことは、その判断が仮に間違ったものだったとしても、全て管理職の責任において次のステップに進むことが、彼らに自己決定の重要性と責任を感じさせることになり、安心感を与えるだろう。このことが職務に対する意欲や積極的に取り組もうとする態度形成に関わっているといえる。

管理職の姿勢や態度が、「悩ましい教職員」を「認められる教職員」に成長させるのをしっかり踏まえておきたい。

「思い切ってやりなさい」と言っておきながら、「私は知らなかった」などと部下に責任を押しつける愚だけは避けたい。成功体験は部下に、失敗は管理職の責任にするという覚悟で教職員の指導に当たりたいものだ。