小中一貫で英語や社会 ICT駆使して学力向上

小さな町が取り組む大きなチャレンジ! ICTを駆使して夢ある教育を――。町を挙げて教育に力を入れている熊本県高森町教委の佐藤増夫教育長に、これまでの経緯や学校教育での取り組みなどについて聞いた。

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高森町は県の最東端、阿蘇五岳と外輪山の南側の間にある。キーワードは「教育の本流をいく」「ローカル・オプティマム」(地域ごとの最適状態)だ。

まちづくりは人づくりとの草村大成町長の意向から、町議会の支援を得て教育に予算をかける。

平成24年に「高森町新教育プラン」を作成し、コミュニティ・スクール(CS)を基盤とした小中一貫教育に取り組む。

CSは、24・25年度と文科省の委託事業として導入促進に関する研究を行い、26年度からは2つの中学校区に導入した。同町は人口7千人弱。2つずつの小・中学校があり、在籍数は小学校283人、中学校168人(昨年10月30日時点)。

また27年度には文科省から「英語教育強化地域拠点事業」を委託され、小学校から「わくわくイングリッシュ」を位置付け、小中9年間を通したカリキュラムを実施している。小学校英語は児童数の多い学校にALTが来校。テレビ会議システムを用い、遠隔授業として2校同時に行う。

25年度には文科省教育課程特例校として「高森ふるさと学」を創設し、小中一貫カリキュラムを実施。24年度には小学校社会科副読本「わたしたちの高森町」を作成した。道徳の副読本「高森の心」も独自に作成、町の歴史、自然、伝統、文化を教材化した。

24年度には、小・中学校全教室に電子黒板を設置し、「デジタル教科書」を導入。校務支援システムも導入し、教師の業務を軽減した。

25、26年度で児童生徒1人1台のタブレット端末を配布。27年度からは文科省委託事業として「人口減少社会におけるICT活用による教育の質の維持向上に係る実証事業」も行っている。

町内全教員が一堂に会して研修
町内全教員が一堂に会して研修

教員研修にも力を入れており、町内授業研究会はテレビ会議システムを使って行う。全4小・中学校の全教員が一堂に集まって共に研修を行う。

昨年3月には「教育の情報化を基盤とした誇りと夢と元気を生み出す人づくりまちづくり」に対して、総務省から地域情報化大賞を受賞した。

新教育プランの実施前後で全国学力・学習状況調査結果を見ても、23年度に小学校6年生だった子どもたちが26年度に中学校3年生になった時点で追跡して比べると、国語A・B、算数・数学A・Bとも全て点数が伸びている。

佐藤増夫教育長は、「阿蘇のカルデラの中にある小さな町。ローカル・オプティマムを教育にどう下ろしていくか、町にとってどのような教育が必要なのかを考え、実現している」と話し、足並みをそろえた小中一貫教育により、9年間を見通した教育ができているとする。

「予算も小さな町だから、文科省からの委託事業でいろいろなチャレンジをする」と、国からの予算でさまざまな教育改革ができていると評価する。

近年は国内はもとより、韓国、台湾などからも視察が来る。「この町で育った子どもたちが、自分のふるさとに誇りを持ってほしい」との願いが結実に向かっている。

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