【連載】国際バカロレアを知るために 第23回 MYPとDPの接続

都留文科大学特任教授 広島女学院大学客員教授(IB調査研究室長)
リンデンホールスクール中高学部校長 大迫弘和

 

現在、2018年までに200校を目標に導入が推進されているのは、1968年にジュネーブで生まれたDiploma Programme(略称DP)です。

高校2、3年生の2年間で学ぶプログラムです。DPの準備プログラムとして94年に生まれたものがMiddle Years Programme(略称MYP)です。日本の学齢でいうと小学校6年生から高校1年生までの5年間のプログラムになります。

MYPについて少し説明をします。

MYPはDPのような「カリキュラム」ではありません。フレームワークです。枠組みさえ守っていれば、あとは自由に各国・各校の事情に合わせたカリキュラムを組んでよいことになっています。

MYPを日本語で実施するのに、問題はありません。

MYPでは、次の8つの教科群のうち、生徒は最低6群から1科目ずつを選んで教科学習が行わなければなりません。

(1)Language & Literature(2)Language Acquisition(3)Individuals and societies(4)Sciences(5)Mathematics(6)Arts(7)Physical and health education(8)Design

また、IBの強い特徴としての「教科のつながり」は「Global Contexts(グローバルな文脈)」と呼ばれるものにより、8つの教科群の学習はつながります。具体的には次の6つになります。

(1)Identities and relationships(個人と関係性)

(2)Orientation in space and time(時間と空間の見当識)

(3)Personal and cultural expression(個人的・文化的表現)

(4)Scientific and technical innovation(科学技術の進化)

(5)Globalization and sustainability(グローバル化と持続可能性)

(6)Fairness and development(公正と発展)

MYPのまとめとして行われる最終プロジェクトは「Personal Project(パーソナル・プロジェクト)」と呼ばれます。プログラムの総決算的な意味を持っています。

以上、非常に簡単に説明しました。

MYPはカリキュラムではなく、フレームワークです。日本の学習指導要領の内容を「IBの学び方」「IBの教え方」で実施すればよいということになります。

冒頭にMYPは5年間のプログラムであると書きました。これにも、国や地域の事情により、4年間で実施したり、3年間で実施したりすることができる柔軟性があります。

ただ、学校としてMYPとDPの両方を実施する場合には、それを連続して行わなければならないというIBとしての決まりがあります。

この決まりを日本の学校に当てはめると、高校2、3年生でDPを実施して、その前の段階でMYPも実施するとしますと、高校1年生がMYPの最終学年、まとめの年になります。

それは、高校生活のはじまりの学年にMYPのまとめのパーソナル・プロジェクトを行うことです。MYPを、はじめは中学校の学習指導要領の内容で行い、最後の1年間だけ高校の学習指導要領で行うことです。

かつDPを実施する場合は、高校1年生で学習指導要領上の必履修科目をできるだけ済ませていく、といった日本の独自の事態が発生することを意味します。

この点を文部科学省がIB機構と調整し、日本の学校に限っては「MYPとDPの両方を実施する場合には、それを連続して行わなければならない」という決まりがなくなりました。

すなわち、中学校3年間でMYPを実施し、DPを高校2年生から始めることが可能になりました。この決定により、MYPの導入に躊躇していた学校の迷いを消せるようになりました。

これでまた一歩、日本のIB導入に向けて、弾みがつきました。

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