【連載】教育現場の課題をひもとく カリキュラム・マネジメント① 社会に開かれた教育課程理念に

〈訂正〉2月11日に掲載した本記事中、執筆者「東京家政学院大学教授 長谷 徹」とあったのは「(一財)教育調査研究所研究部長 寺崎 千秋」の誤りでした。(2月11日)
(一財)教育調査研究所研究部長 寺崎 千秋

1.カリキュラム・マネジメントとは

昨年8月26日、中教審教育課程企画特別部会が、次期教育課程の基本的な考え方や方向づけとして示した「論点整理」において、「カリキュラム・マネジメント」の重要性が論じられている。カリキュラム・マネジメントの意義について「論点整理」では「学習指導要領を受け止めつつ、子供たちの姿や地域の実状等を踏まえて、各学校が教育目標を実現するために、学習指導要領に基づきどのような教育課程を編成し、どのようにそれを実施・評価して改善していくか」と示し、次の3つの側面を重視している。

(1)各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。

(2)教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。

(3)教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。

「論点整理」では、これまでは(1)の側面が重視されてきたが、これからは(2)(3)も重視する必要があるとしている。

確かに、各校ではこれまでも「教育課程の編成、実施、評価、改善」を行い、これをサイクル化して学校改善に取り組んでおり、(1)については、実際に行われているといえよう。問題は、それが実効しているかという点である。(2)(3)についても実施しているという声が聞こえそうであるが、現状と課題については、今後のこの稿で扱うことにする。

2.カリキュラム・マネジメントの新たな視点

「カリキュラム・マネジメント」、すなわち現行の教育課程でいえば「教育課程の編成・実施・評価・改善のサイクルによる学校改善」であるが、「論点整理」では前述の3つの側面だけでなく、新たな視点を考慮するのを求めていることを踏まえる必要がある。

1つめは、カリキュラム・マネジメントの目的である。

その視点は、学習指導要領で「育成すべき資質能力」であり、これについては次の3点が示されている。

▽何を知っているか、何ができるか(個別の知識・技能)

▽知っていること、できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)

▽どのように社会・世界とかかわり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力、人間性等)

知識・理解だけでなく資質・能力の育成を重視するのが、次期学習指導要領に向けた改訂の方向性である。これらを育成するための方法であるアクティブ・ラーニングの重視とともに、カリキュラム・マネジメントをどう行うかが重要であるとしていることを確認しておきたい。

2つめは、「論点整理」では学校が教育課程を介して社会や世界と接点をもち、つながる必要があるとし、新たな教育課程の理念として「社会に開かれた教育課程」を提言している。

これからの教育課程は、社会に開かれ、教育が普遍的に目指す根幹を堅持しつつ、社会の変化を柔軟に受け止め、よりよい社会づくりを目指す理念を社会と共有していくことに役割があるとし、「社会に開かれた教育課程」を標榜しているのである。

この他にも「チームとしての学校の在り方」もカリキュラム・マネジメントと大きく関わるなど、これらの視点をしっかりと把握し、「カリキュラム・マネジメントというが従来と変わらないではないか」といった思い違いをしなように捉えることが必要である。