濱野健区長に聞く 独自の教育課程で人材育成

小中一貫など教育改革に
東京都品川区は取り組み続ける

東京都品川区は、学力定着度調査や保護者、地域住民らが参画する外部評価などを盛り込んだ教育改革「プラン21」を平成11年度に策定し、実行してきた。18年度には小中一貫教育を開始し、9年間のカリキュラムが一巡りした。全国に先駆けて小学校1年生から学ぶ「英語科」、社会の仕組みや将来設計といった人生に関わる内容を学ぶ「市民科」など、区独自の実践にも取り組んできた。28年度からは、新たな校種である義務教育学校が設置される。こうした教育改革について、同区の濱野健区長と中島豊教育長に話を聞いた。


 

来年度から義務教育学校設置m20160218品川区長インタ

――品川区では一早く小中一貫教育を開始し、9年間が一巡りしました。

「教育七五三」という言葉がある。これは、3割が小学校までに、5割が中学校までに、7割が高校までに学習カリキュラムについていけなくなる実態を指した言葉。現場の教員から確かにそういう傾向があると聞いて驚いた。小中一貫教育は、いわゆる中1ギャップを解消するのがねらいのひとつ。つまり、落ちこぼれる子どもを救うということ。

私自身も中1のときに環境が変わり、辛い思いを経験した。子どもたちには同じような経験をさせたくないとの思いが、小中一貫教育を進める原動力でもある。

来年度からは、6校ある施設一体型小中一貫校が「義務教育学校」となる。区切りはこれまで通り「4・3・2」。

――今年度から始まった新教育委員会制度については。

地教行法改正前の2年前から、教委とは会合の機会を設けており、教育委員とコミュニケーションをとっていた。首長が主宰する総合教育会議の先駆けではないかと思っている。

私は、教育には2つの目的があると思っている。1つは、子ども自身が人生を生き抜いていくためのノウハウを獲得すること。もう1つは、未来の社会を作ること。こうした思いを来年度にまとめる予定の教育大綱に盛り込んでいきたい。行政は未来の社会に対して責任をもつ立場。この立場から教育に対して発言するのは当然だと思っている。

そして、この会議は、副次的な効果をもたらした。教育に関する私の思いを区民に伝える機会があるということだ。

――来年度予算には、2020年東京オリンピック・パラリンピック教育に関する事業が盛り込まれています。

昨年、東京都はオリンピック・パラリンピック教育の提言をまとめた。通常であれば、新年度から実施予定だが、品川区は3学期から行う。
ホッケーとビーチバレーとブラインドサッカーの3種目は、品川区がメーン会場となる。

子どもたちには、この競技種目について知ってもらいたいと思っている。この種目を中心に体験教室を実施する。当該競技選手のほか、さまざまなトップアスリートと子どもたちが交流し、いろいろなことを感じてもらいたい。

品川区は、英語教育にも力を入れている。全国に先駆け、小学校1年生から6年生までの「英語科」を新設し、取り組んできた。来年度の事業である「品川英語力向上推進プラン」では、この取り組みをさらに拡充し、区内小学校31校中24校に導入する。29年度には全小学校に設けたい。このプランにはこのほか、英語漬けの日々を過ごす「イングリッシュ・キャンプ」なども盛り込んでいる。

2020年東京オリンピック・パラリンピックで、英語を習得した子どもたちがボランティアなどで活躍できたら、区長としてこれほどうれしいことはない。

――今後、進めていきたい教育は。

グローバル人材の育成や、社会的な視野をもたせる教育を進めていきたい。さらに子どもたちには、健康でしっかりとした体をつくる指導も重要だ。この3つが大切だ。子どもたち一人ひとりが人生をよりよく生き抜いていく力を身に付けてほしい。

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