中島豊教育長に聞く 小中一貫教育が10年の節目

小中一貫など教育改革に
東京都品川区は取り組み続ける

東京都品川区は、学力定着度調査や保護者、地域住民らが参画する外部評価などを盛り込んだ教育改革「プラン21」を平成11年度に策定し、実行してきた。18年度には小中一貫教育を開始し、9年間のカリキュラムが一巡りした。全国に先駆けて小学校1年生から学ぶ「英語科」、社会の仕組みや将来設計といった人生に関わる内容を学ぶ「市民科」など、区独自の実践にも取り組んできた。28年度からは、新たな校種である義務教育学校が設置される。こうした教育改革について、同区の濱野健区長と中島豊教育長に話を聞いた。


教員の意識などが大きく変化m20160218品川区教育長インタビュー

――平成18年度にスタートした品川区の小中一貫教育が、10年の節目を迎えている。同区のさまざまな教育改革の取り組みと合わせ、振り返って、いかがか。

ひと言でいうと、区内の教員の意識が大幅に変わった。小中一貫9年間を通じた教育体制による小・中学校教員の交流や、毎月定期的に実施する共同の授業研修会など、学校種を超え、互いの授業を視察し、研さんし合う状況が当たり前になった。地域に開かれた教育や学校ごとの特色ある教育なども大幅に進んだ。

10年前は、「教育改革」という言葉自体が珍しかったと思う。平成11年に、区の教育改革「プラン21」を策定してのスタートだった。国に先駆けた学力定着度調査、保護者や地域関係者などが加わる外部評価制度などを実施。区立小・中学校教員の指導力向上を図ってきた。

――その教育改革の目標は。

一連の教育改革の目標は、管理職を含む教員の意識改革と各学校が自校の課題に沿った教育目標を見つめ、効果的な改善策を進めていけるようにするためだ。従来は、個々の学校内だけで教育活動が完結し、実践も慣例主義がはびこっていた。そんな状況を打破する手段が、教育改革「プラン21」である。

ただ、品川区の学力定着度調査は、学校を単に点数評価するものではない。あくまで各学校独自の課題を明確にし、その克服を図る材料に生かすためだ。そんな調査の趣旨を各学校に丁寧に説明した上で、実施している点は強調しておきたい。

各学校のありのままの課題を見つめ、それぞれの課題を具体的に改善するPDCAサイクルの学校マネジメントの実現と定着を図る中で、教員の意識改革と授業改善を実現している。

さらに、外部評価を通して、自校の効果検証だけでなく、学外の視点や地域の教育への思いに理解を深めている。

――具体的には。

学力定着度調査と合わせ、毎年、各学校で検証と改善策、具体的な改善行動計画を策定する研修会を実施している。これは、各中学校区の小・中学校教員が協働し、互いの課題を見つめ、共に解決策を見いだす研修である。

このような取り組みを経て、区内各校では、個々の児童生徒の課題を明らかにする「個人学習カルテ」の作成ときめ細やかな学習対応と工夫を推進。区独自の教員加配による少人数習熟度学習の充実や小学校教科担任制などの取り組みを合わせて、質の高い分かりやすい授業の実現を進めている。

全国学力・学習状況調査の結果比較では、平成26年度の小学校6年生の国語A、B問題の全国平均点を上回った学校が37校中30校、中学校3年に当たる9年生の数学A問題で15校中11校、同B問題で15校中10校が全国平均点を上回る結果が明らかになっている。

しかし、全国学力・学習状況調査の点数だけに注目するのではなく、区では、学力を支える学習意欲や生活習慣などの関連要素に着目し、総合的な伸長を図る学びを大事にしている。

――区の独自教科「市民科」について。

総合的な伸長を図る学びの具体の1つが、区の独自教科「市民科」だ。その創設と実施は、市民としての自立や意思決定力、社会の仕組みの理解、将来設計力などの育成に大きな効果を上げていると考える。

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