社会人までを見通すカリキュラム 大人の目が多いメリット生かす

品川区立小中一貫校品川学園

9年間を見通したカリキュラムで英語を学ぶ
9年間を見通したカリキュラムで英語を学ぶ

社会に通用する子どもを育てるのがねらい――。区立小中一貫校品川学園(荒川右文校長・児童生徒数1108人)は、平成23年4月1日に、区内で5番目の施設一体型小中一貫校として開校した。

社会を生き抜く力を持った、社会を支える人材を育てようと、学び続ける基礎力、思考力、実践力を培うのを目指している。9年間を1~4年生、5~7年生、8、9年生の3ブロックに分けている。

1~4年生ブロックは、いわば寺子屋的な指導を行う。学級担任がスモールステップで基本的生活習慣を徹底しながら、学級・学年集団の形成を目指す。授業は45分間。4年生がリーダーシップを発揮する縦割り班活動を取り入れている。4年生では自覚を促す「二分の一成人式」を行う。

5~7年生ブロックは、児童生徒会や委員会活動の中核となる。7年生が会長となり、リーダーシップを発揮する。授業は50分で教科担任制。7年生は「立志式」を行い、社会人へのステップを踏み出す。

8、9年生ブロックは社会参加を視野に入れ、地域での活動を担う。近くにある駅の花壇の手入れをしたり、地域行事へ主体的に参加したりする。授業は50分で、教科担任制。

秋には学習成果発表会がある。1~4年生は演劇を発表し、5~7年生は学習成果をプレゼンテーションする。8、9年生は弁論大会を行い、自らの考えを発表する。3学期の5~9年生の合唱コンクールは、学級ごとに練習を重ねて本番に臨む。

1~9年生の特別支援学級も併設しており、通常学級との交流を行っている。学級では自立を目指し、日々、さまざまな学びにチャレンジしている。

区の英語新カリキュラム実践校となっている。9年間を見通したカリキュラムのもと、1、2年生は学級担任とALTがTTで授業を行う。3~6年生は学級担任とJTEを中心に、中学校の英語専科教諭も入る授業もある。

学力の定着にも力を入れている。1~6年生は読解力の向上を目指し、目標を設定して読書活動を推進。7年生は夏休みに2日間、集中講座を行う。8年生は「自分の将来を考える」をテーマに夏休みに3泊4日で勉強合宿を行う。埼玉県の施設までバスで移動し、食事と睡眠時間以外は勉強に明け暮れる。引率は教員だけでなく、学生が十数人つき、生活や学習の指導をする。

また8年生は職場体験、企業訪問などのキャリア教育も実施。高校説明会に参加するなど進路を考えはじめる。

区独自教科の「市民科」を、9年間を通して系統的に学び、研究の柱に位置付けている。児童生徒の実態に合わせて市民性を育て、実践力が身に付くようカリキュラムの工夫や教材開発を行っている。

東京都人権尊重教育推進校、区のICT活用実践校としての指定も受けている。第1、3土曜日は登校日となっている。

4、5年生から部活動が始まる。演劇部、吹奏楽部などの文化部、サッカー部、バスケットボール部などの運動部に入部でき、上級生と一緒に練習をする。

1~9年生全員が集まるのは、月に1度の全校朝会だ。バスケットコート3面がとれるアリーナに全員が集まる。1100人を超える児童生徒が勢揃いし、静けさを保っているのは実に見事。

教職員は、常勤だけでも60人を超える。担任は、朝、子どもたちを学級で迎えるために職員会議を行わない。代わりに毎夕、教職員全員が集まる会を行う。ただし、部活動や委員会などの都合で参加できない場合もある。そこで校務PCのイントラ機能を活用。その中でも、月に1度は全教職員が集まる機会を設けている。

荒川校長は「同じ校庭で、こちらで1年生が活動し、少し向こうで9年生が体育の授業をしているといった場面が日常的にある。一緒に過ごしていると、高学年が低学年にやさしくなる」と、互いの存在がいい効果をもたらしているとほほえむ。

「教員の忙しさは打ち合わせの調整をはじめ大変だが、みな、子どものためと一生懸命」と話し、多忙の中での教員たちの奮闘を評価する。

小中一貫教育については「9年間を見通して取り組めるメリットがある。教職員数が多く、区固有教員や学習支援員・学校司書などいろいろなスタッフもいる。多くの大人の目を子どもたちに注げる」と、きめ細かな指導ができる利点を語る。

「一貫校の成果を検証するには、在校生が卒業し、彼らが親になって、わが子を通わせたいと考えるかどうかの時点まで待たないと」としつつ、あどけない幼さが残る1年生から大人ふうの容貌を備える9年生までが共に過ごすよさはたくさんあると話す。

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