【連載】クオリティ・スクールを目指す 第72回 AIの進化と教師の仕事

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

単純作業は取って代わるが

最近、急速に人口知能(AI)が話題になっている。『DIAMONDハーバード・ビズネス・レビュー』で特集したのは昨年11月号であるが、最近は『週刊朝日』(2月12日号)に載った。テレビでもBS11が2月4日に放映している。

最近では、野村総合研究所がAIに取って代わられる仕事と、そうでない仕事を具体的に発表したからである。

アメリカのある学者が「今の子どもの65%は、今はない職業につくであろう」と述べことで、将来に向けた不安が広がった。文科省が中教審に出した次期教育課程の「諮問」の冒頭は、「今の子どもたちが成人して社会で活躍する頃には、職業の在り方が今とは様変わりしていると指摘されている」と述べている。

確かに、ケータイやスマホを考えてみても、20年前、10年前にはなかったものである。

将来、どのような職業が消え、どのような新しい職業が誕生しているか、予測困難な時代になったといえる。そうした時代の動きに即応して野村総研が、AIによる影響を具体的に考えたのが今回の情報提供であった。

つまり、AIの進化によって消える職業、残る職業は何か、ということである。例えば教師の職業は消えるであろうか。

実は、教師の職業は残るのである。残る職業をいえば、医師、心理学研究者、テレビタレント、映画監督、漫画家、雑誌編集者、犬訓練士、アナウンサーなどである。

なくなりそうなのは、一般事務員、駅員、銀行窓口係、タクシー運転手、給食調理人、ビル清掃人、塵芥収集作業員、測量士、AV・通信機器組立・修理工などが並ぶ。

説明では、(1)創造性の高い職業(2)コミュニケーションが多様化する職業(3)繰り返し同じことをするのではなく①回きりのような仕事――などが残るという。それに対して反復のような仕事はAIが得意とする分野である。

事務系や作業系などがAI化される可能性は高いであろう。

ただし、一斉になくなるのではない。企業や地域などの多様な要因があって、なくなるかどうかが決まる。一方、教師の仕事はなくならないとされるが、教育分野にAIを活用できないかという研究は急速に進むであろう。

現在、すでに病気の画像診断などはAIで実施可能という。2020年ごろには、自動車の自動運転、農業の自動化などが行われる。そして2030年ごろには、教育、秘書、デスクワークにAIは侵入する。ただし、AIの普及によって失業者が増大するということでもない。新たな職業が立ち上がる可能性が高い。

ところで、現在、文科省はOECDと組んで「Education2030」を立ち上げているが、その時点でAIの進化はどうなっているであろうか。AIによる教育環境が大きく変わる中での教育改革という新たな課題が生まれそうである。