【連載】教育現場の課題をひもとく カリキュラム・マネジメント3 PDCAは実効を上げているか

(一財)教育調査研究所研究部長 寺崎千秋

 

カリキュラム・マネジメントの第二の側面について述べる。カリキュラム・マネジメントの目的は、学習指導要領改訂期においては、教育課程の全面的な見直しであり、学校改革といってもよいだろう。「論点整理」が示したカリキュラム・マネジメントの(三つの側面)の第二では「教育内容の質の向上に向けて、子どもたちの姿や地域の現状に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価し、改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること」を求めている。すなわち、教育の質の向上・学校改革につながる実効のあるカリキュラム・マネジメントの確立が問われる。

1.子どもの成長の姿で評価しているか

第二の側面については、ほとんどの学校が「よくやっている」と答えるであろう。それでは、子どものほとんどは教育目標に掲げる姿に成長しているのか、それを育む教育の質は向上しているのか、と問われたらどう答えるのだろうか。さまざまな教育課題が次々と生じて学校の教育の質が問われるのはなぜか。教員はがんばっている、よくやっているといわれるが、ではなぜ結果がついてこないのか。ここのところをカリキュラム・マネジメントで真に掘り下げることが今後求められるだろう。

「論点整理」が「子供たちの姿や地域の現状に関する調査や各種データ等に基づき」というように、エビデンスの視点を今後しっかりもって、カリキュラム・マネジメントを確立しサイクル化することが必要である。

2.形成的評価を着実に積み上げているか

PDCAサイクルのつながりは年間のサイクルだけでなく、学期や月の教育活動、単元の学習過程、1単位時間の学習過程のすべてが重要であり、これらをマネジメントすることが今後一層求められよう。

学期や月ごとにおいては、その期間の学習指導や生徒指導の目標や重点が設定される。実施、実践過程における子どもの活動や行動の状況を把握し評価する。その結果からこの期間の計画や指導の成果や課題を明らかにする。成果はこの後の指導を発展的に継続すればよい。課題については、これらをどう改善するかを明らかにし、具体的な改善策を指導計画に位置づけた上で、学校全体の共通理解のもとに次の段階や過程につなげるようにする。

単元の学習過程では指導計画・指導案に基づいて指導しながらその過程や結果を評価し、その後の指導を継続発展させるか軌道修正するかを判断して、指導計画を変更したり指導の工夫を加えたりする。1単位時間ではこれらを時間内に行うことが求められる。

こうしたPDCAサイクルを日常的に展開し、形成的な評価を積み上げ、最終的に総括的な学校評価につなげることで、指導の改善や充実、指導計画の改善、ひいては教育課程の改善につながり、教育の質を高め、子どもを教育目標に向けて育むことになる。これらを丁寧に着実に積み上げて結果を生み出していくようにすることが、マネジメントである。

3.学校関係者評価等を生かしているか

「社会に開かれた教育課程」では、学校が教育課程を介して社会と接点をもち、つながる必要を強調している。「地域とともにある学校づくり」の一環としてコミュニティー・スクールが一層推進される。カリキュラム・マネジメントにおいても、この視点を一層強める必要がある。これらを踏まえて、学校評価における学校関係者評価や第三者評価の機能の強化が求められることであろう。

現在の学校関係者評価がカリキュラム・マネジメントにどう機能しているか、ルーチンや馴れ合いに終わっていないかを厳しく問い直し、教育の質の向上と、学校改善に生かす重要な役割が果たされるようにする必要がある。カリキュラム・マネジメントの新しい意義や方法を学校関係者に説明することも必要である。

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