【連載】学校教育相談の歩みと展開 第6回 コーヒーカップ方式を活用

函館大谷短期大学名誉教授 保坂武道

 

■國分方式

ロジャーズ理論、精神分析理論、行動理論の三大理論を中軸に、実際のカウンセリングを展開するに当たって勧めたいのは、「コーヒーカップ方式」(図)である。日本教育カウンセラー協会の國分康孝会長が勧めるもので、「國分方式」ともいわれる。

教育カウンセリングでは定番になっている。いわば、三大理論のマッピングである。

これを念頭に展開すると、教育カウンセリングの全体像が極めて理解しやすい。進行中の教育カウンセリングが、どの段階にさしかかっているのかを確認し、それまでの経緯を整理し、今後の方向性をつかむのにも役立つ。

m20160310_02■三本柱

コーヒーカップ方式による教育カウンセリングの展開には、次の三本柱がある。これまでも、折に触れて述べてきたことをまとめると――。

(1)リレーションづくり
適切な姿勢や視線、相手との距離や話しやすい座り方、表情や声の調子、服装、言葉遣い、挨拶、技法などによって、より良好なリレーションづくりにつながる。

ここが不適切であると、良好な信頼関係は築きづらい。それが最初のつまずきとなり、カウンセリングを進めるのが困難になる場合もあるので、心しなければならない。

(2)カウンセリング技法
カウンセリングのストラテジーやスキルには、哲学がある。状況の読みが大切だ。ストラテジーやスキルがなければ、成功する手術も失敗する。
(3)技法・理論・哲学
この3つは、自分のパーソナリティーの中でワンセットにして身に付けておかなければならない。決して独立して成り立つものではなく、教育カウンセリングにおいて、常に一体として働いている。どれかが突出しているならば、教育カウンセリングは、適切に行えない。

技法に自他共に振り回されたり、相手の状況に応ぜず、理論を墨守するおざなりの対応しかできなくなったりする。カウンセリングを導くしっかりとした哲学で技法や理論を形成的にとらえ直し、目の前の相手に向かわなければならない。

図のコーヒーカップ方式の(1)から(3)には、それぞれ次の項目が入る。

(1)▽変容▽繰り返し▽明確化▽支持▽質問▽非言語の要素として座る位置・表情・身振りなど

(2)▽Who=困っているのは誰か▽What=何に困っているのか▽When=いつ頃から困っているのか▽Why=なぜこの人にとって問題なのか▽Where=どこで問題になっているのか▽How=どのように問題になっているのか

(3)適切な処置を実施し、解決と対処法を知るために、次の6つの方法がある=▽リファー=ほかの援助者や関係機関に依頼する▽ケースワーク=環境を修正したり具体的なサービスを実施したりする▽スーパービジョン=ハウツーやスキルを教えたり指導したりする▽コンサルテーション=解決に向けた知恵を授ける(アドバイスの仕方が重要)▽具申=所属する組織・機関の上長に具申する▽個別カウンセリング(個別的な対話)