【連載】国際バカロレアを知るために 第25回 PYP(IB初等教育プログラム)

都留文科大学特任教授 武蔵野大学教育学部特任教授
リンデンホールスクール中高学部校長 大迫弘和

 

今年2月に、文科省大臣官房国際課(国際バカロレアの推進にあたっている部局)が配布している『国際バカロレアについて』という資料の中の「4.国際バカロレアの推進に関する提言等(抜粋)」に「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015年改訂版/平成27年12月24日閣議決定)=2020年までに国際バカロレア認定校等を200校以上に増やす(平成26年の74校から27年11月現在で88校に増加)」という記述があります。

この記述の中の「2020年までに200校以上」という表現を見て、IBの国内推進の動きに関心を持つ方々から、「これまでは『2018年までに200校』であったのに、方針が後退し、2年先送りになったのか」といった見方が出ています。

しかし、IBの推進に関して「2018年までに200校」という方針に変更があったわけではありません。「まち・ひと・しごと創生総合戦略」においては、全ての目標数値が「2020年」で設定されていたため、それに合わせた目標表記が必要になり「200校」という表現を「200校以上」としています。

そのことより「88校」という数値が大切です。ここには高校2、3年生が学ぶ「IBディプロマプログラム(DP)」実施校に加え「IB中等教育プログラム(MYP)」「IB初等教育プログラム(PYP)」の実施校が含まれています。

国際バカロレア(IB)の導入が日本の教育の国際化のトリガーとしての意味を持つなら、この実施校の数え方は正しいといえます。また当初イメージされていたDPの実施に関連して考えても、PYPやMYPを実施する場合、何年か後にはDPの実施につながっていくだろうことが自然だという意味においても、この数え方で進むのがよいでしょう。

さて、これまでこのコラムでは、「IB初等教育プログラム(PYP)」についてはあまり触れていないので、今回と次回で少し触れておきたいと思います。

現在、既に先進的な取り組みを行っているいくつかの私立幼稚園・小学校がIB機構から「PYP候補校」と認められ、最終認定に向かって歩みを進めています(現在の段階で日本国内で「PYP」を認定校として実施しているのは20校のインターナショナルスクールだけで、一条校では、まだありません)。

PYPは、3歳から12歳までを対象とするプログラムで、幼稚園・小学校段階で実施されますので、幼稚園が独自に「PYP候補校」となっているケースもあります。

しかし、山梨県甲府市の山梨学院大学附属幼稚園・附属小学校のように、幼稚園と小学校が同時に「PYP候補校」になる国内初めてのケースも生まれています。

まず最初にPYPは(そしてMYPもそうなのですが)、DPのような「カリキュラム」ではないことを伝えておかなければなりません。PYPは「フレームワーク」です。枠組みさえ守っていれば、あとは自由に各国・各校の事情に合わせたカリキュラムを組んでよいことになっています。日本語で授業を行うことも、もちろん可能です。

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