【連載】教育現場の課題をひもとく 問題行動の現状と課題 不登校編① 短期間の増減に左右されず本質を

神田外語大学教授 島﨑政男

(注)平成2年度までは50日以上欠席を対象としていたため推計値とした
(注)平成2年度までは50日以上欠席を対象としていたため推計値とした

文部科学省が毎年実施している「問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、平成26年度の不登校児童生徒数は、小学校2万5866人(在籍数千人に対する比は3.9人)、中学校9万7836人(同27.6人)、高校5万3154人(同15.9人)であった。

多くの報道は、「小学校最多、中学校2年連続増加」という短期間の増減だけに目を奪われたものであった。例年、小さな変化に「スクールカウンセラー配置の成果」「体罰の影響」などの論評が繰り返されているが、このような「井の中の蛙」的な見方をしていたのでは、不登校問題の本質に迫ることはできない。

下の折れ線グラフは、昭和41年度から始まった「学校ぎらい」(平成10年度の調査から「不登校」に変更)の調査結果を「千人比」で表したものである。小学校ではここ数年の微増、高校では小さな変動であるが、中学校では大きく4期に分けることができる。

第1.期は昭和30年代後半から使われ始めた「学校恐怖症」の言葉のイメージが色濃く残っていた時期で、千人比では2人程度が続いたので、「平準期」と呼ぶことができる。

第2.期は昭和50年を過ぎてから始まった「増加期」で、スクールカウンセラー活用調査研究が開始された平成7年度頃まで続いた。この期の前半には、精神科医などを中心に学校に行かないことを積極的に評価する発言や書籍の出版が相次いだ。昭和58年に発行された生徒指導資料第18集(文部省)の表題は「生徒の健全育成をめぐる諸問題―登校拒否問題を中心に―」であった。

この間、適応指導教室設置の推進(平成2年)、指導要録上の出席扱い(平成4年)などの対策がとられ、学校不適応調査研究協力者会議報告(平成4年)では、「登校拒否は誰にでもおこりうる」との学校病理を重視した見解が出された。

しかし、中学生の不登校は第3.期「急増期」を迎え、平成12年度以降、千人比は25人を下回ることなく、第4.期「高原期」と言われる状況が続いている。

平成9年発行の生徒指導資料第22集「登校拒否問題への取組について」には、「学校が登校拒否に関して不十分な指導を継続していけば、登校拒否児童生徒数は増大するばかりであろう」とある。今まさに、そういった状況である。

不登校問題は、生徒指導上の問題の域を超え、学校の在り方そのものが問われる重大な社会問題となっている。その要因・背景の捉え方や指導・支援の在り方をめぐる論議も千差万別であり、「脱・不登校」に向けた取り組みは困難を極める。

しかし、学校経営上の重大課題に位置付け、全教職員一丸となって対応しなければならない。その第一歩となるのが危機意識の共有である。