【連載】教育現場の課題をひもとく 「特別の教科 道徳」への準備④ 評価、運営組織、全体計画など

元全国小学校道徳教育研究会会長 馬場喜久雄

 

1.学校全体で準備をしっかりと

(1)評価について共通理解を

「『道徳の評価』が新しく始まる」という誤解が多く聞かれる。「道徳の時間」は、授業である以上評価があるのは当然であったはずだ。他の教科と同じように、授業中の発言や書かれた物、あるいは表情やうなずき、私語、手いたずらなどで評価してきたはずである。

また数値では表さないというが、これは授業のことであり、道徳教育全般としては「行動の記録」として評価してきている。

では、何が新しいのか。指導要録に評価を書くことである。いま、文部科学省の評価委員会で検討がなされているので、その結果を待つわけだが、学校としては学習指導要領にある「児童の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要がある。ただし、数値などによる評価は行わないものとする」をしっかり読み込み、理解しておくことではないだろうか。

(2)学校の運営組織の点検

いくつもの学校の校務分掌図を見ることがあったが、道徳の分掌は各教科と同列の学校が多く見られた。はたしてそれでよいのであろうか。道徳教育推進教師は、上に立つ仕事である。ならば、教務主任や、生徒指導主任、研究主任と同等の位置になくてはならない。今一度、道徳教育推進教師を中心とした道徳の仕事を考えて、校務分掌を検討する必要があろう。

(3)道徳の全体計画の見直しと別葉の充実

道徳教育を進めるに当たって、その目標を踏まえて全体計画を作成し、校長の方針の下、道徳教育推進教師を中心に全教師が協力して道徳教育を展開することが大切である。

作成に当たっては、児童、学校地域の実態を踏まえ、道徳教育の重点目標を設定する。そして、各教科等における指導内容や時期を明確に示す。また、家庭や地域社会との連携を示すことも大切である。

(4)新たな内容項目の意図と指導内容を押さえる

「いじめ問題への対応の充実や、児童生徒の発達段階をより一層踏まえた体系的なものにする」「中学校までの指導の系統性を考えて、新しい内容項目を設ける」ということから、次の内容項目が新しくなった(平成元年以前と比べると、新しいものは高学年の「よりよく生きる喜び」であり、後は復活といえる)。

「個性の伸長」が低学年に、「公正公平、社会正義」が低学年と中学年に、「国際理解、国際親善」が低学年に、「相互理解、寛容」が中学年に、「よりよく生きる喜び」が高学年に加わった。また、低学年の「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」が、「郷土」だけだったものに「我が国や」が加わった。そのほか、文言が変わったものもいくつかある。

これらをしっかりと把握して、指導内容等を考えておく。

2.まとめ

新しく変わるところ、変わらなくてはいけないところ、変わってはいけないところなどをしっかりと押さえる。道徳科の授業は、毎週1回必ず行うことが極めて大事といえる。

そのことが、地域の信頼を得て、地域とともに子どもたちの豊かな心を育てていくことにつながる。そのためにも、道徳教育の発信を学校公開などを通して行っていきたい。

(この項終わり)