【連載】クオリティ・スクールを目指す 第75回 プログラミング学習の実践

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

ICT教育はどう進化するか

総務省は今年度から、プログラミング学習を地方の小学校でも支援することになった。スマホの普及やロボット化の進展で将来的にプログラミング技術者の需要が増加するという予測に基づいている。

その先駆けとしてプログラミングの学習に全校あげて取り組んでいる学校がある。

東京都品川区立京陽小学校である。プログラミング学習は、子どもが実際に機器の操作を身に付けることが必要で、教科等と授業とを関連させたカリキュラムが重要になる。そのカリキュラムで注目されるのは、教科の評価基準とともに、プログラミングで学ぶスキルと論理的思考力の獲得を目指す評価基準を設定していることである。

例えば、1年生国語のスキルは「スクラッチを用いて、ヒントに合った画像や動画でクイズを表現している」である。5年生音楽は「リズム・楽器・速度の入力。重なるリズムの音を多くしたり、少なくしたりする入力」となっている。子どもが初歩的なプログラミングを可能にするスキルの積み重ねを考えている。

また6年生の算数授業では「素数を探すプログラミングを書こう」のテーマで、3つの班に分かれた習熟度別学習を展開している。

しかし、京陽小はプログラミングのスキルのみを子どもに求めていない。研究主題は「デジタルテクノロジーの書き手を育てる」であるが、サブタイトルは「豊かな言語能力の育成を目指して」である。そのため、「論理的思考力」「文化的創造力」「コミュニケーション力」「表現力」の4つの育成を考えている。

そのことで、教科等のどんな学習内容がプログラミングに適合するか、カリキュラム・マネジメントが重要になるであろう。

つまり、デジタルテクノロジーを育てながら豊かな言語能力の育成をも目指すために教材等の吟味が必要になる。しかも、1年生からの系統的な積み上げを考えている。ICT活用を教育的な可能性への視点として捉えているのではないか。その意味で京陽小のプログラミング学習は、極めて重要な示唆を与えてくれている。

ところで、このような実践が必要とされるのは誰もが認める社会的な要請であるが、一方、アメリカでは最近の子どもを「Iジェネレーション」と名付けている。それは幼児からデジタル機器に囲まれて育っている状況への驚きからである。従来の子どもの成長とは異質の生育が将来的にどのような状況を生み、教育がどう対応するのか、難しい課題である。

「Iジェネレーション」の「I」はインターネットやインタナショナルの「I」である。そうした状況の変化が確実に子どもの成長に影響する。ICT教育をどう確立するか、緊急の課題である。

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