【連載】学校教育相談の歩みと展開 第8回 カウンセリングの演習例

函館大谷短期大学名誉教授 保坂武道

 

(1)基礎技法(総合)

カウンセリングの基礎技法を総合的に演習してみよう。

演習は、(1)受容(2)繰り返し(3)明確化(4)支持(5)質問――で組み立てられる。

まず、カウンセラー・クライエント・観察者の役を決め、3人1組をつくる。話題を、▽最近腹立つこと▽いま、困っていること▽いま、自分にこだわっていることの中から1つを選択して決める。

5分間で、クライエント役からの話をカウンセラー役が聴き、その様子を観察役が観る。その後、観察役が、1分間でフィードバックする。その際、カウンセラー役とクライエント役のよかったこと、改善すべき点を、観察役が話し、評価の観点で、3人で話し合いをする。

続いてロールチェンジし、3人が全ての役割を体験する。

全員がそろぞれの役をし終わったら、5分間でシェアリングを行う。

シェアリングでは、次の6項目を評価の観点とする。

(1)面接の導入はスムーズだったか。

(2)相手の話を引き出すことができたか。

(3)感情にふれられたか。

(4)カウンセラー役の気持ちは伝えられたか。

(5)課題をつかもうとしたか。

(6)カウンセラー役は意図的かつ積極的に基本技法を使ったか。

これらの項目に基づいて、総合判定を行う。

(2)ロールプレー・シナリオの例

3人1組の演習で、クライエント役は、次の要項にしたがって来談者を演じる。

状況設定=小学校6年生の不登校児で、週1回、母親と一緒に、相談室でカウンセリングを受けている。既に10回実施している。母親から、子どもがいっこうによくならないことについて、次のような話があった。

「先生は、子どもが治らないから、いらいらしているのでしょう」

「先生は、うちの子をやっかいな子だと思っているのでしょう」

「子どもは少しはよくなってきたのでしょうか」

「あと、どのくらいすればなおるでしょうか」

(3人で役を交代しながら、各5分で実施。シェアリングーは1人終了後に1分)

(3)モデリングによるロールプレーの例

状況設定=数年前、短大を優秀な成績で卒業。市内の病院で介護の仕事をした女子学生である。ところが、勤めて2年経ったある日、大学の研究室を訪れ、先生には、就職に当たっては大変世話になったけれど、病院を辞めたいと申しでてきた。あなたならどう対応するか。

カウンセラー役とクライエント役による真に迫ったカウンセリングを実施する。

時間配分は、カウンセリング10分、シェアリング10分。

(4)カウンセラーのパーソナリティ

カウンセラーのパーソナリティとしてふさわしいのは、(1)人好き(2)共感性(3)防衛的でない(4)他者への敬意(5)カウンセリングの評価の観点
評価の観点は、(1)リレーションはどうだったか(2)問題の核心は把握したか(3)目標は立てられたか(4)技法的にどうであったか(5)非言語表現はどうであったか(6)処置は適切であったか。

(5)カウンセリングにおける私のモットー

出会いを大切に、本音と本音で語って、互いに信頼を深める。「じゃ、また来週」と気軽に語れる。