【連載】クオリティ・スクールを目指す 第76回 小・中教員1日13時間労働

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

やりがい感が減退しないか

小・中学校の教師の多忙化がいわれて久しい。OECD国際教員指導環境調査(TALIS)で、日本の中学校教員の勤務時間は国際的に最長とされ、その認識が広まった。今年2月には、(公財)連合総合生活開発研究所(連合総研)の調査が示された。

この調査では、小学校教員は平均して午前7時11分に出勤し、午後7時11分に退勤する。中学校教員は同じく午前7時23分に出勤し、午後7時38分に退勤する。学校外でも1時間以上働いているとする。1日の労働時間は共に、13時間以上となる。労働者全般と比べると4時間程度長いことが明らかになったという。

教師の極端な多忙化の実態が浮かび上がり、その結果として「勤務日の睡眠時間」が6時間である。「読書時間」は15分未満という少なさであった。

この実態はかなり問題である。睡眠時間が少なく、読書時間も少ないという現実は、心身を極度に疲労させる。

教師は知的な労働であるだけに、教育の質を低下させることは確かである。

一方、何が負担を感じる仕事かといえば、小・中学校ともに「保護者・地域からの要望対応」がトップで80%を超えていた。次いで「国や教委からの調査対応」である。

そこで仕事の軽減措置について聞いているが、他の職員等に移行してほしい業務の1位は「学校徴収金未納者への対応」であった。2位は「国や教委からの調査対応」である。前者については、教委として他のスタッフが実施する措置を考えるなど、改善を急ぐべきである。後者は依然として課題が残る。

そこで注意すべきなのが、負担を感じている1位の「保護者・地域からの要望対応」が上位にあがっていないことである。例えば、デパートなどでは商品のクレームがあれば、対応するのは商品を扱った店員ではなく、クレーム担当者である。

しかし、学校へのクレームは子どもへの対応など、教師の指導そのものが多い。校長もその場に立ち会っているわけでなく、実態把握が困難である。

つまり、クレーム処理は教師が対応するしかない。それが多忙感を増加させる。

しかし、これほどの難しく多忙な職務に、教師はなぜ我慢強く対応するのか。

実は、今回の調査で思い出したことがある。日教組が昭和61年に実施した「青年意識調査報告」があって、総評が実施した青少年労働者の調査について教員分を抜き出して一般労働者と比べたものである。

それによると、毎月の残業時間が50時間以上は、一般労働者5%に対して教師は20%であった。当時から教師の労働時間は長かった。だが、教員の労働意識では、仕事への「やりがい感」が極めて高かったのである。「仕事がうまくいったとき」の満足感は教師が50%、一般労働者は15%であった。今も教員意識は当時と変わらないであろうか。

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