【連載】学校教育相談の歩みと展開 第9回 問題行動をどう理解するか

函館大谷短期大学名誉教授 保坂武道

 
 問題行動を早期に発見し、指導・援助を適切にするために、また関係機関との連携を図るために、一般的な理解が欠かせない。とはいっても、それは、膨大なものだし、どうとらえるかによって分類や指導方法が変わってくる。ここでは、教育現場で見られる視点を述べる。

■問題行動を見取り理解する視点

(1)見える部分
行動、言語、表情、態度は顕在する「見える部分」。

(2)主観性
これは、その児童生徒独自の世界。直ちには見えないが、顕在部分に直接的、間接的に表現される。

(3)見えない部分

内面性、気持ち、感じ方、感情。絶えず動いており、見たり、触ったりできない、潜在の部分。これも、直接間接に、顕在化する。
問題行動の見える部分だけを追いかけて叱責したり、説教したり、力で押さえ込もうとしたりするのを「まりつき指導」とか「モグラたたきの指導」という。

■問題行動とその対応

(1)問題行動とは、どうとらえるかによって、その分類の仕方が変わり、指導の仕方も変わる。

A個人的な問題と対応

個人の生活上の問題類型は、▽食事=小食、過食、偏食、拒食、寄食など▽排泄=夜尿、失禁▽睡眠=不眠、夜ふかし、ねぼけ、悪夢など▽着脱衣=ぐず、依存など▽くせ=乱暴な言葉遣い、かんしゃくなどの感情的な爆発、貧乏ゆすり、性器いじりなど。

これらの個人的な行動について、その内面的な原因や動機などを知り、適切な対応と指導をすることによって、かなりの改善が期待できる。精神衛生の観点からすれば、個人的指導が重大である。

B社会的な問題と対応

反社会性のある問題として、うそつき、悪口、わいせつ、けんか、不良行為、家出、殺人、暴力、暴走などが挙げられる。

これらは、攻撃的、反抗的で、社会のルールに反して他人に迷惑を及ぼす。不道徳な行為が中心。特に戦後、青少年の非行現象が著しい。近年は、陰湿、過激、たまったストレスが突然一気に噴出するなどが特徴。そこで、早期発見・早期指導・予防対策が重要となる。問題行動が重篤な場合には、関係機関との密接な連携が必要になる。

C非社会性の問題

非社会的、つまり、人間関係が正常に取り結べない問題として、緘黙、引っ込み思案、消極的行動、不登校、ノイローゼーなどが挙げられる。最近の傾向の一つとして、非社会的な問題行動が注目されている。子どもの自殺や不登校の増加などが最近の傾向である。

D没社会性の問題

自己中心行動や社会的無関心など、没社会的な特性のある問題行動も目立ってきている。これらは、社会的な無関心や他人への配慮のなさから起こる。幼い子の自己中心的な行動もその一つ。かつて高校生に「三無主義」があったが、これも没社会性の問題であった。