【連載】クオリティ・スクールを目指す 第77回 都市型学校が抱える課題

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

地域がよく見えているか

最近、コミュニティ・スクールが喧伝されているが、その実施意図は極めて重要と考えられていても、例えば東京都などの都市型学校の場合、その実施にはかなりの難しさを感じる。

実のところ学校が定める教育目標は、地域の実態を踏まえることが基本になっているが、その把握はかなり抽象的である。地域の実態がよく見えていないのが現状ではないか。

学校の職員構成が地域連携型ではなく、学校運営型で事足りるように仕組まれているのが実態である。

何よりも、校長が他県から通勤してくるだけでなく、教員の大半がそうである。校区に住む教員はほとんどいない。そのため地域との関係は子どもを通してでしかない。地域の行事に参加する教員も稀である。

そのような実態であるから、地域との連携を重視するために地域連携担当教職員(仮称)を置き、学校側の窓口にするという考えがある。この窓口業務はかなり重要であるが、地域住民との会合は夕方か、あるいは土曜日になりやすい。担当者の負担がかなり大きくなるのは避けられない。

一方、地域側として地域住民や学校との連絡調整を実施する地域コーディネーターを配置する考えがある。地域の人材など、コミュニティを構成する要員を見いだし、協議会等が豊かに構成されるのが期待されるが、困ったことに個人情報保護条例によって保護者の職業を学校は把握できない。

コミュニティ・スクールにとって人的資源は極めて重要で、地域コーディネーターにかなり難しい人集めを依頼することになりそうである。

その地域コーディネーターには、確かな人材が選ばれるのであろうか。ある地域ではPTA会長すら成り手がいない、と校長が嘆いていた。

学校と地域の連携・協働といっても、基本は「人」相互の関係である。有為な人材が集まればコミュニティ・スクールは活性化するが、都市型学校の場合かなり難しい課題がありそうだ、というのが今の私の感想である。

一方、私の知っている範囲で「ぜひコーディネーターをやらせてほしい」「コミュニティ・スクールに参画したい」という地域の方が何人か現れている。地域における人間的な交流を盛り上げたいという動きである。その動きの中核に子どもを据えて、多様な活動を企画したいと考えている。

コミュニティ・スクールは学校が地域に開かれることによって、地域住民の参画意識が大きく変わる可能性がある。地域独自の実態を踏まえた地道な対応が必要である。