【連載】国際バカロレアを知るために 第27回 PYP(IB初等教育プログラム)

都留文科大学特任教授 武蔵野大学教育学部特任教授
リンデンホールスクール中高学部校長 大迫弘和

 

前回、前々回に続き、3歳から12歳までが対象で幼稚園・小学校段階で実施されるIBプログラム「PYP」について書いてみます。

PYPは「フレームワーク」です。枠組みさえ守っていればあとは自由に各国・各校の事情に合わせたカリキュラムを組んでよいことになっています。日本語で授業を行うことも可能です。

PYPの学習の核になるのは6つのテーマによる「探究の単元/Unit of Inquiry(UOI)」です。

(1)Who we are/わたしたちは何なのか(2)Where we are in place and time/わたしたちはどのような時代、場所に生きているのか(3)How we express ourselves/わたしたちはどうやって自分を表現するか(4)How the world works/世界のしくみ(どう動いているか)(5)How we organize ourselves/わたしたちは自分たちをどう組織しているのか(社会の構造)(6)Sharing the planet/地球を共有すること――の6つです。

PYPでの教科学習は以下の6つになります。
(1)language(2)Mathematics(3)Social studies(4)Science(5)Personal, social and physical education(6)Arts(Drama/Dance/Music/Visual Art)

この内、(1)~(4)は学級担任によって担当されることが決まりになっています。また(3)Social studiesおよび(4)Scienceは「UOI」の中で全てが学ばれなければなりません。すなわち社会や理科といった教科名は時間割には現れません。(1)languageおよび(2)Mathematicsについてもできるだけ「UOI」の中で、その学習が行われることが目指されますが、どうしても「UOI」に含むことが難しい部分があれば、それは「UOI以外の時間」(「stand alone」と名称される時間)で学習します。(5)Personal, social and physical educationおよび(6)Arts(Drama/Dance/Music/Visual Art)については基本的に「UOI」ではないstand aloneの時間で学ばれますが、年間に2回、「UOI」の6つのテーマの内、2つを授業の中に取り入れることになっています。

6つの教科の学習内容は、それぞれ教科別に「Scope and sequences(学習範囲と順序)」に示されています。
それに基づき、「UOI」に各教科の学習を落とし込んでいき、6つの「UOI」が出来上がります。一条校でPYPを実施する場合は、学習指導要領の内容を「UOI」の中に含み込んでいくことが必要となります。

IBはどのプログラムも「概念学習」を行います。そのために PYPでは8つの「Key Concepts(鍵の概念)」が示されています。
(1)Form(形)/それはどのようなものか(2)Function(機能)/それはどうなっているのか、どうやって動くのか(3)Causation(因果)/それはどうしてそうなっているのか(4)Change(変化)/それはどのように変わってきているのか(5)Connection(関係)/それはほかのもの(こと)とどういうつながりがあるのか(6)Perspective(見方)/どういう考え方(ものの見方)をしているのか(7)Responsibility(責任)/わたしたちがしなければならないことは何か(8)Reflection(振り返り)/どうしたらわかるのか。

この8つの「Key Concepts」はそれぞれの学年の「UOI」で、最低1年に1回は使われることになっています。

以上でPYPというプログラムの基本的な形をお分かりいただけたでしょうか。PYPを日本の一条校小学校で実施するのは決して難しくはありません。ぜひ挑戦してみてください。

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