今年度から大阪府に「教育庁」 私学の教育行政も教育長に委任

大阪府は今年度から、私学の教育行政に関する事務を知事から教育長に委任し、新たに私学課を設置。これまでの教委事務局と合わせ、「教育庁」として新体制をスタートさせた。こうした中で、大阪府の向井正博教育長と大阪中高連の森眞太郎会長(学校法人樟蔭学園理事長)にそれぞれ話を聞いた。

公私一元化で情報共有 合同の教員研修に注力
向井正博 大阪府教育長

私学行政をめぐっては、教育行政の一元化を図ろうと、松井一郎知事が平成28年1月に、私学行政に関わる事務を知事から府教委に委任する方針を示した。だが、「私学の独自性が失われる」とする懸念の声があり、教育長に委任した。

教育庁の中に私学行政を入れたのは、公立と同様に公教育の一端を担っているからである。私学側からは反発もあったが、これまで所管していた府民文化部私学・大学課が丁寧に説明してきた。変わることへの不安があったのではないだろうか。

所管が教育庁になろうとも、姿勢は変わらない。教育庁が決まった段階では、一部の私学からは「ともに大阪の教育のために力を合わせましょう」との温かい声もいただいた。

私学の独自性が失われると、抽象的に漠然と言われていたが、具体的な反対意見は聞いていない。私学の公立化があるのではないかとの指摘もあるが、教育基本法と私立学校法に私学の自主性を尊重する旨が規定されており、私学に対して、公立と同様の一元的な指導を行うことはない。

私学行政が教育庁の所管となり、私学と公立の情報を整理するのが容易となり、メリットは大きい。私学行政の事務を担う私学監を設け、これにより、私学に対する大阪府の関わりが一層きめ細かくなっていくと思う。

5月9日には教育庁内に「公私連携プロジェクトチーム(PT)」を設置した。課長級の私学課参事を座長に、各課の課長補佐ら約30人がメンバーとなっている。このPTでは、先進的な取り組みをしている事業の情報共有のほか、公私合同の教員研修などの拡充も考えている。

このほか、公私の講師登録などについても情報共有などが図られたらと考えている。こうした事業を8月末までに取りまとめていく予定だ。だが、先行できるものについては、可能な限り早期に実施する。

特に合同教員研修には力を入れたい。大阪府教育センターもあるので活用してもらえたらと思っている。研修で知見を広めてもらいたい。私学教員の業務の状況に配慮して、夏休みや冬休みなどの長期休業での実施を考えている。

教育長委任には違和感 公私予算配分どうなる
森眞太郎 大阪中高連会長

私学行政が教育長に事務委任されたのには、違和感を覚える。地教行法第21条には「教育委員会の職務権限」として公立学校、第22条には「長の職務権限」として私立学校が規定されている。法の主旨から見て、地方自治法第180条の2の「事務委任」を使い、わざわざ別部署に規定されている職務権限をその一方に事務委任するのはどうかと感じた。

大阪府の私立高校は96校もあり、東京都の237校に次ぐ規模である。教育長に事務委任しても、事務の効率化は期待できない。大阪府は橋下知事誕生後、公私立共通の特別補助金も設定されている。公私の情報交換は現状でも活発に行われており、知事部局から教育長に事務委任する必要があるのか疑問だ。

大阪府では、これまで知事をトップに府民文化部長、私学・大学課との組織体でやってきた。このたびの改組で、教育長、私学監(新設)、私学課となった。

このような組織変更となったが、私学課からの学校法人に対する設置認可、助成事務、指導、助言には大きな変更はないと考えている。

私学課は、経常費補助金、就学支援金として、約500億円の予算をもっている。今後、教育長の下に、公立学校予算と並列して置かれるようになり、公私立の配分が気になるところではある。

また私学では、教員研修を各校でやらなければならなない。これは非常に負担になっている。教育庁となり、私学行政を統括するのであれば、いろいろな施策も考えてほしい。

同庁では、公私連携プロジェクトチーム(PT)」を立ち上げたと聞いている。研修プログラムが利用できればありがたい。その場合、私学は専任率が約70%であり、授業実施期間には学校を離れられない現状があるので、実施時期などを考慮してほしい。

関連記事