【連載】学校経営“旬”の課題「教職研修」岡本編集長の3分解説 第1回 信頼失わない学校事故対応

従来、学校管理職に求められている「学校事故対応」といえば、未然防止の意識向上や教員の取り組み、組織体制の整備が中心のテーマでした。学校の「ウチ」をどう回していくか、という視点です。

一方で、学校事故が起きた後の学校の対応について、被害児童生徒の保護者等が批判してくるケースが見られます。学校の「ソト」からの声です。

たとえ学校で死亡事件・事故が起きたとしても、「生きている児童生徒や保護者のために、早く教育活動を正常に戻さなければならない」と「ウチ」しか見ていなかった学校は、被害児童生徒の保護者(=遺族)への対応を重視してきませんでした。

『先生はぼくらを守らない』(宮脇勝哉・宮脇啓子著、エピック)には、平成11年、兵庫県川西市立中学校で部活動中に起きた生徒の熱中症死亡事故における、学校の事故対応の詳細が記されています。

この事故の遺族夫婦(前掲書の著者)は、同じ市内の学校教員でした。わが子が学校事故によって死亡し、夫婦は被害生徒遺族となりました。

学校のウチからソトに出て初めてわかったこと――身内をかばい組織を守るためにしか動かない学校や教委、そして学校が情報を明るみにしないがゆえに保護者・地域に蔓延する遺族への中傷――学校がウチだけを見ていることの「異常さ」が浮き彫りとされています。

このような状況を打開すべく、文科省は、今年3月31日に「学校事故対応に関する指針」を公表しました。この指針作成に関わった「学校事故対応に関する調査研究」有識者会議には、学校の事件・事故で家族を失った遺族も委員として参加していました。

指針では「被害児童生徒等の保護者の心情に配慮した対応」を行うよう求められています。

各学校現場では、この「指針」に沿って危機管理マニュアルの見直し・改善を図り、誰の信頼も失わない「学校事故対応」をしていく取り組みが望まれます。

誰かを切り捨ててでも身を守ろうとする姿勢では、誰からも信頼を得られない――学校だけでなく、一般に明白な真実ではないでしょうか。

【岡本淳之】

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【月刊「教職研修」7月号のヘッドライン】巻頭インタビューは、国立情報学研究所の新井紀子先生。AI時代の学校の役割とは。特集1は文科省指針に基づいた「学校事故対応」のあり方について。特集2では「組体操」を安全・安心にどう実施するかを探ります。

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