【連載】次期学習指導要領 改訂への期待 4 管理職のリーダーシップがカギ

教育新聞論説委員 細谷 美明

 

「質の高い深い学び」ができる子どもの育成には、教師自身に「質の高い深い学び」のできる資質・能力が備わっていることはもちろんだが、子どもに対して思考を深める発問の工夫や助言をするなどの高い指導力も求められる。それに対する学校の現状は、どうであろうか。

平成27年度全日本中学校校長会調査研究報告書によれば、教科等における言語活動の実施について「順調に実施できている」と答えた学校は28.2%と低く、アクティブ・ラーニングに特化した設問で実施上の課題としたものは「指導方法の理解や研修の機会」75.0%、「教材研究を行う時間」64.3%であった。前回(5月16日付)に述べたOECD側からの指摘にもあるように、現在の中学校にアクティブ・ラーニング型指導推進の課題がまだ多くあるのは事実である。

こうした課題解決のためには、次期学習指導要領の策定作業において、これまで示してきた学習目標・内容や指導上の配慮事項等だけではなく、アクティブ・ラーニングが必要とされる単元に関しての指導方法や評価規準、さらには数値等の尺度で表された評価基準も事例として示す必要があると考える。

さらに、各地区の教育委員会や任意団体である教科等の教育研究会が主催して、演習と研究協議を中心とした教員研修の開催を計画的に行う必要もあろう。

あわせて、研修の参加はもちろんだが、事前の教材研究を行う教員の研究・研修時間の確保のための人的・時間的措置も検討するなど、中教審がもう一方で公表した答申案「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」の完全履行も期待したい。

2点目の、校長をはじめとする管理職がカリキュラム・マネジメントを円滑に進めていくために必要な、国や教育委員会が行うべき必要な条件整備についてだが、「論点整理」ではカリキュラム・マネジメントのもつ3つの側面について、次のように示している。

(1)各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科横断的な視点で、その目標達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。

(2)教育内容の質の向上に向けて、子どもたちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し実施し評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。

(3)教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。

そのため、国や教育委員会に対して、子どもや地域の実態を示すための各種調査の実施と分析結果の情報提供や各学校のカリキュラム・マネジメントの状況点検と指導助言の体制を整備すること。ただし、カリキュラム・マネジメントはあくまでも管理職の仕事であるので、現在の自校の教育課程や学校組織の質的な見直しを今から図っておくのは大切である。

例えば、現在の教育活動が各種調査結果等の客観的根拠に基づいており、そこで明らかになった課題を解決するために自校の子どもや地域の実態に配慮した最も効果的な活動として実施されているのか、教育課程の内容が分掌組織と連動した体系的・構造的な形式になっており、外部から見ても分かりやすいものになっているのか、地域の人的・物的資源の開発を行う一方で現在の学校組織が外部人材を入れるのを前提とし機能的に活動できる体制となっているのか、地域に全面的に任せる、あるいは学校と連携して実施するなど地域や家庭の教育力も協働の視野に入れた活動の検討・再点検をする必要はないのかなど「社会に開かれた教育課程」のマネジメントの成否は、管理職の強いリーダーシップがカギを握っていることを、十分に認識すべきである。(おわり)

関連記事