【連載】クオリティ・スクールを目指す 第80回 簡便な情報獲得で教育に対峙

教育創造研究センター所長 髙階玲治

 

教師には教育動向の認識が必要

現在は、国際的にも、社会的にも、急激な変化の時代である。教育も、当然ながら変化の渦中にある。周知のように平成25年に教育再生実行会議が設置されて、教育改革が矢継ぎ早に打ち出された。現在は、中教審での次期教育課程論議が進行中である。また教員の資質・能力の向上、チーム学校、コミュニティ・スクールの馳プランがスケジュール化されている。

一方、教育ニュースとして、いじめ問題、子どもの貧困、ICTの活用など、多様化する教育課題が頻繁に登場する。
ところが、例えば教育改革の動きなど、数年先にはわが仕事に関係あり、と思える課題について「話題に上らない」という声が聞こえてくる。積極的に新しい教育情報を獲得したいという教師の意欲や関心を感じられないというのである。なぜか。

実のところ、今年2月の連合総研の調査報告で驚いたのであるが、小・中学校教員の1日の勤務時間13時間、睡眠時間6時間、読書時間15分という結果であった。これでは情報収集どころではない。新聞も丁寧に読む時間がないであろう(本紙連載5月2日付)。

しかし、新しい情報から遮断されている状況は教師力を向上させない。簡便でもよいから、情報獲得の手だてが必要である。例えば本紙は、スマホで読める電子版を提供している。新しい教育情報につながっているのは、教師力向上に欠かせないことである。

図書としては、今年5月発行の『教育の最新事情がわかる本3』(教育開発研究所)がある。この図書は、例えば国の教育改革の動き、次期学習指導要領、いじめ事件など教育時事、学校や子どもの現状などを3ページ程度にコンパクトにまとめている。読みやすい構成である。休日など余裕の時間に手にとってみたい。同書『1』は21年に、『2』は23年に刊行されている。

また最近のデータを知りたい場合は、調査・統計解説集として『内外教育 データで読む教育 2015―2016』(時事通信社)がある。1年間の教育調査・統計等を解説したもので、『内外教育』に掲載した解説記事から選りすぐってまとめたものである。ただ入手するには、インターネットによる直接注文が必要である。

教師は、誰もが認めるように、知的で専門的な職業である。新しい教育の知見が必要である。ただ、簡便な情報獲得では十分でないのは確かだけでなく、獲得した情報を校内にシェアするなどが大切である。

しかし、教師個々の教育情報獲得には、多忙化が大きな要因で限界がある。このままでは、国の優れた政策であっても、学校の実践に浸透することはおぼつかない。
個々の教師に教育情報が伝播するための効果的な方策が必要である。つまり、伝播作用の研究が必要ではないか。