【連載】新任校長のチャレンジ 月別の校長術最強指南④

教育新聞論説委員 寺崎千秋

 

7月
後手から先手への転換
教育の質の向上を目指して

7月・8月を節目、転換点に

新任校長として3カ月が過ぎ、学校経営ビジョンや経営方針をもとに経営活動を展開してきたことであろう。しかし、実のところ、何かとやることが後手に回ってしまうか、傍観せざるをえなかったというところが本音ではないだろうか。逆に学校をよくしようと急いだため、いろいろと口を出しすぎ浮き上がってしまっているなどはないだろうか。このままであれば、結局1年間がその続きになりかねない。7月・8月、ここがふんばりどころ、がんばりどころ、見直しどころ、切り返しどころである。状況によっては仕切り直しになるかもしれない。いずれにしてもどう転換点にするかは校長の決断である。

学校評価・自己評価等を転換点に

今や学校評価は自己評価と学校関係者評価、地域によっては第三者評価を関連、連動させて学校の教育の質の向上を図り、家庭や地域の信頼獲得に努めることが常態となっている。問題は、評価が機能し実際に教育の質が向上しているのか、それを学校・家庭・地域で共有しているのかということである。これを確実に行うためには、自己評価の形成的評価を7月に確実に行い、8月には夏季休業後の教育活動をどのように展開するか、どこをどう改善するかを明らかにしておく必要がある。特に、学校経営方針に沿って重点化した指導方針や手だてを明らかにし具体化することが必要である。くれぐれも欲張らずに、新任1年目にしてまずこれだけは、ということに絞って実現を目指すことが肝要である。

夏休みの自律的な生活づくりへ

学習・生活の転換点を迎えるのは子どもも同様である。4月からの新学年での学校生活で学習したことを振り返り、自分に身に付いたことは何か、もっと努力すべきことは何かを発達段階に応じて明らかにし自覚できるように指導・支援しなくてはならない。
そして、長い夏休みに入る。夏休みは、これまでに学校で学習した経験を活用しながら家庭生活を自律的に過ごすときであり、それが試されるときである。長い休みをどのように過ごすか、楽しく充実したものにするか、家庭とも協力しながら学校において時間をかけて目標や計画を立てるようにすることが求められる。

その点について、学校としての指導計画を作成し共通理解して学年や学級による大きな差がでないようにする必要がある。これらは、家庭はもちろん、地域の人々・学校関係者等にも加わってもらい共に考え、子どもたちの生活の安全確保などに協力してもらうようにする。この辺のところは、校長がしっかりとリーダーシップを発揮しなくてはならないところだ。

校長の指導・助言が大切

7月・8月は教職員にとっても大事な節目・転換点であり、そうなるよう校長の指導・助言が大切である。教職員一人ひとりが学校評価の自己評価と関連させて、一つは自らの授業や学級経営、校務分掌の遂行などを自己評価し、成果を認識し自信をもてるようにする。一つは自己の課題を自覚し今後どう改善するか、9月からにどうつなげ生かすかを振り返るようにする。これらを実践する大事な時である。

新任校長として3カ月が過ぎ、教職員の実態をほぼ把握できたことであろう。その上で、これからの学校づくりにどうかかわってもらうかの構想を明確にするとともに、一人ひとりの教職員がさらにどのような力を付けるべきかを明らかにする。その結果を人材育成計画に表し、意図的・計画的そして組織的に育成していくようにする。意図的・計画的とは、どんな力をどのようにして付けていくようにするか、組織的とは校長だけではなく学校全体の協力のもとに一人ひとりの力をどのように育んでいくかということである。

以下は具体的な取り組みの一例である。
▽個々の教職員のライフプランや研修計画を聞き、どんな支援ができるかを考え実行する
▽夏季休業中にやりたい研修、やっておきたい研修を計画し、選択できるようにする
▽各教職員に必要と考える資質能力の育成に関する研修を校長と一対一で実施する
▽普段できない諸事務の効率的、効果的な処理の方法を身に付つける研修を実施する
▽理科の実験や体育の実技研修、音楽の楽器の指導や図工の造形活動の指導などの体験的な研修を実施する
▽学校外での教育団体などの研究会、研修会等を紹介し、積極的な参加を勧める(出張扱いか休暇か、旅費は出るのかなども確認しておく)
▽長期休業日のよさを生かして休暇を活用しリフレッシュすることを勧める

家庭・地域との関係強化へ

夏季休業中は地域においてさまざまな行事やイベント等が計画されることであろう。新任校長はこれに子どもたちや教職員がどのように参加することが期待されているのかを休業日前にしっかりと把握しておくことが大切である。全容を把握した上でどの行事等にどのように参加するかについて事前に学校としての対応を確認し共通理解して、子どもや保護者に発信する必要がある。

一方でこうした行事やイベント等は地域のリーダーや役員などと交流する機会ともなり、学校の取り組みや子どもの変容の姿について広報し学校理解を深めるチャンスにもなる。学校・教師が創意工夫しがんばっている姿やそれにより子どもたちが成長している姿を積極的に広報し関係強化に向けた宣伝マンとなることである。

隗より始めよ

学校評価の形成的評価や学校関係者評価、あるいは第三者評価に取り組む前に、まずは校長自らが自己の学校経営をビジョンや方針に沿ってその言動や判断等を振り返る自己評価をきちんとやっておこう。そして、教職員の形成的評価、学校関係者評価や第三者評価をしっかりと受け止める姿勢や構えを確立しておこう。

以下はその視点の一例である。
◇子ども、教職員、保護者、地域の人々などの声に耳を傾け、子ども第一に考えての言動および判断であったか
◇自らが立てたビジョン・方針に沿った言動及び判断をし教育活動等をリードしてきたか
◇保護者や地域の人々、教職員等に笑顔で接し明るく風通しのよい学校づくりに努めたか
◇教職員が仕事をしやすい学校内外の環境づくりに努めたか
◇相談や課題への判断・決断、対応は迅速であったか
◇危機の判断を的確に行い、事故等の未然防止や対応に努めたか
◇子どもたちのよさや変容、それを創り出している教職員の創意工夫や努力を積極的に広報することに努めたか

以上の視点からこれまでの学校経営を振り返り、夏季休業後にどう先手を打って学校経営をリードしていくかしっかりと構想し、8月下旬にはスタートできるようにしよう。